最後まで〝兄貴分〟だった。今季限りで現役を引退する阪神・西勇輝投手(35)の引退試合が7日の広島戦(甲子園)で行われた。

 登場曲「Always」(光永亮太)に乗って思い出が詰まった聖地のマウンドに立った西勇は、こみ上げる思いをこらえながら数々の試合を戦ってきた梅野とのバッテリーで1回1/3を無失点。最後は坂倉をシュートで空振り三振に仕留め、藤川監督や仲間たちと抱擁を交わしてマウンドを後にした。試合も延長11回に梅野がサヨナラ内野安打を放って逆転勝利。相棒に花道を勝利で飾ってもらった西勇は「今はホッとしています。(投球前は)グッとくるものがあったし、もうこれが最後なんだなと思いながら1歩目踏み込むのが遅くなりました」と振り返った。

 18年間のプロ生活で多くの先輩から学び、いつしか日本人投手ではチーム最年長。ベテランとなっても変わらなかったのが、かわいい後輩たちに向けるまなざしだった。

 投手陣は村上や才木、高橋ら若い力が次々と台頭。西勇は「下の世代が育ってる証拠だと思うし『俺がそこに座ってやる』って思えたメンバーの塊だと思う」と後輩たちの成長を喜んでいた。

 そんな西勇が後輩へ目を配るようになった原点は、FA移籍前のオリックス時代にさかのぼる。「自分の登板があるけど、他の後輩が2桁(勝利に)近かったら譲ってあげたりとか金子さんとかがしていた。それが格好良かったし、余裕ある感じもした」

 金子千尋ら、自分のことだけではなく後輩にも目を配る先輩の姿を間近で見てきた。だからこそ自身が先輩となってからも、その姿勢は変わらなかった。「他のメンバーが(記録に)いけそうやったら、登板を変えてほしいとか。そういうのはあったし、ずっと後輩はかわいい」。自らの登板機会よりも後輩のチャンスを優先しようと考えることもあった。

 若手時代に感じた先輩の振る舞いを、いつしか自身も後輩に見せる立場となっていた西勇。先輩たちから西勇、そして若虎たちへ――。継承された思いは後進に受け継がれていく。