ユニコーン不在の痛手を、完全復活した左腕がかき消している。
ドジャースのブレイク・スネル投手(33)が、長い離脱を取り返すような快投を連発。3連覇を狙う王者の〝Vの使者〟となっている。8月11日(日本時間12日)に左ヒジ手術から負傷者リスト(IL)を経て復帰した2度のサイ・ヤング賞左腕は、その後の5先発すべてで5回以上を投げ、自責点は1以下。計29回でわずか3失点、38奪三振と圧巻の数字を並べる。4日(同5日)の本拠地ナショナルズ戦でも6回無失点、7奪三振で白星をつかんだ。
チームにとっても復活は絶妙のタイミングだった。ドジャースは8月を13勝14敗と負け越し、一時は7連敗を喫するなど失速。それが9月に入ると息を吹き返し、10日(同11日)のレッズ戦まで今季最長の7連勝で89勝57敗とした。
その一方で大谷翔平投手(32)は左ヒザ、右上腕二頭筋などの不安を抱えており、ロバーツ監督が15日間の負傷者リスト(IL)入りを明言。今季の投手としての登板も見送られる見通しとなり、打者としても戦列を離れた。それでも王者が白星を積み重ねられている背景に、スネルの復調がある。
米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」も10日(同11日)の記事で、復帰後のスネルを「事実上無敵の状態」と評した。しかも本人は、この好調ぶりに満足するどころか、4日の登板後にこう言い切っている。
「もっと良くなれると思う。このリーグで長く投げてきたことで、打者を理解できるようになったし、より早く対応し始めている。それにはワクワクしている。プランを持ってマウンドに上がり、そこから調整して素早くアウトを取ったり、カウントを有利にして三振を取ったりできる。その判断がどんどん速くなっていることが本当にうれしい」
さらに「そこはうれしいけど、自分はもっと良くなれると思っている。本当にそう思う。速球を内、外、高め、低めに投げ分けることができるし、もっと良くできると思う。今はゾーンの周りに投げているけど、少し外れている。もっと良くなれると思う」と続けた。
スネルは2024年にジャイアンツでプレーし、FAで25年からドジャース入り。負傷に悩まされ、加入後のレギュラーシーズンはここまで17先発にとどまる一方、計93回1/3で8勝5敗、防御率2・22、115奪三振と、投げれば一級品の数字を残してきた。
次回は11日(同12日)の敵地マーリンズ戦に先発予定。今でも十分に脅威なのに、スネル本人はまだ〝完成形〟ではないという。大谷を欠いても走り続ける王者に、この左腕がもう一段ギアを上げれば――。10月を争うライバルにとって、これほど不気味な話はない。













