虎将の〝前のめり〟は吉と出るか――。2位・巨人の猛追を受ける阪神で、藤川球児監督(46)が勝負の秋へギアを一段上げている。

 12日の巨人戦(東京ドーム)を控えた11日の全体練習では、朝から室内練習場に〝虎のカーテン〟を引き、異例のミーティングを実施。その後の練習でもナインの動きに厳しい視線を送った。

 とりわけ気にかけたのが、若手の姿勢だ。「キャリアのある選手たちは分かっていますが、若い選手はどうしても流す練習になりかねない。それは注意しました」とピシャリ。「試合のない日の取り組みにも表れます。そこはコーチの指導も含めてやっていかなければいけない」と、終盤戦に求める緊張感をあらためて突きつけた。

 戦力にも手を入れた。右の代打要員として期待された豊田寛外野手(29)は同日の練習に姿を見せず、ドラフト1位ルーキー・立石正広内野手(22)が一軍に合流。東京ドームでは14打数7安打、打率5割を誇る若虎を勝負どころの切り札として呼び戻した。

 球団史上初のリーグ連覇を狙うペナントレースは佳境。宿敵との直接対決を前に指揮官が神経をとがらせたのも当然だ。実際に藤川監督は今季、巨人戦を「特別」と位置づけ、先発ローテーションにも手を加えるなど強い対抗意識を隠してこなかった。

 その一方、就任以来繰り返してきたのが「普段通り」の重要性だ。だからこそ、ここへ来て一段と強まった締め付けがナインにどう伝わるかは見逃せない。集中力を高める〝喝〟となるのか、首位を守る重圧まで背負わせるのか。紙一重だ。

 優勝争いは1試合で終わらない。勝負を急ぐあまり指揮官の力みが選手へ伝染すれば、築いてきた平常心まで揺らぎかねない。火の玉監督の熱量を推進力に変えられるか。悲願の連覇へ、その手綱さばきも問われる秋となる。