エースは、ただ帰ってきたわけではない。左太もも裏の肉離れで離脱していた巨人・戸郷翔征投手(26)が1日のDeNA戦(京セラ)で約2か月ぶりに一軍先発復帰。5回92球を投げ、5安打3失点(自責2)と粘った。チームも4―3でサヨナラ勝ちし、連敗を3で止めた。

 初回は2四球と味方の失策が絡んで先制点を献上。直後に打線が2点を奪ったが、2回に同点とされ、5回には度会に勝ち越しソロを浴びた。それでも3失点で踏ん張って試合をつくると、打線は5回に追いつき、9回に高卒2年目・石塚がプロ初のサヨナラ犠飛。劇的勝利につなげた。

 白星こそお預けとなったが、戸郷は「久しぶりの一軍で変な力も入っていましたけど、球速も出ていましたし、すごくいい登板になったと思います」と安堵の表情を浮かべた。

 7月7日の阪神戦(東京ドーム)。走塁時に左太もも裏を痛め、翌8日に「左太もも裏の肉離れ」と診断された。当初は長期離脱も懸念されたが、驚異的な回復力で早期復帰。この日は初回から自己最速タイの154㌔を計測し、負傷前と遜色ない出力で球場をどよめかせた。

 なぜ、異例ともいえる早期復帰と出力アップを両立できたのか。その裏にあったのが、リハビリ中の〝上半身リカバリー〟だ。チーム関係者の一人は、復帰時期を2週間以上早めた回復ぶりに「すごいですよ」と舌を巻き、こう明かす。

「〝ケガの功名〟じゃないですけど、下半身をケガしたことで、足の調整をしながら、上半身(特に肩)を休憩することができたからだと思います。そのおかげで遠投でも自然と出力を上げられていましたし、コンディションはシーズンの中で一番いい状態になっていますね」

 下半身の治療に専念する一方、登板を重ねてきた右肩には思わぬ〝休養〟が生まれた。その結果、出力を落とすどころか、むしろパフォーマンスを高めたというわけだ。

 復帰戦を前に、リハビリ期間を「すごく成長できた」と振り返っていた背番号20。災いを力に変えたエースが、逆襲を期す巨人の先頭に立って腕を振る。