戻る主力の姿が見え始めた矢先、今度は打線の〝潤滑油〟が倒れた。レッドソックスは15日(日本時間16日)、敵地ピッツバーグのPNCパークでパイレーツに4―0で快勝した。だが、白星の代償はあまりに大きい。吉田正尚外野手(33)が3回、右翼線への二塁打を放った際に左ハムストリングを痛め、二塁へ到達すると自らベンチに合図。そのままアンソニー・シーグラーと交代した。

 地元有力紙「ボストン・ヘラルド」や米スポーツ専門局「ESPN」も相次いで負傷を速報。球団は当初「左ハムストリングの張り」と発表したが、MLB公式サイトは試合後、損傷によって故障者リスト入りが濃厚になったと報じた。トレーシー暫定監督も「重症度はまだ分からないが、しばらく離脱することになると思う」と長期化の可能性を示唆している。

 何より不穏なのは、吉田自身の言葉だ。試合後、米スポーツ専門局「NESN」がXで公開した取材動画では、無念さをにじませながら「タイミングとしては残念」とコメント。過去に日本でハムストリングを負傷した経験について「今回とは違う場所だが、痛む箇所には近い。戻るまで約1か月かかった」と明かした。今回はボストン帰還後に検査を受ける予定で、現時点では離脱期間は確定していない。

 吉田は今季、打率2割7分4厘、5本塁打、28打点。数字以上に痛いのは、ここへ来て存在感を急激に高めていたことだ。直近33試合では打率3割2分1厘、出塁率3割7分7厘、長打率5割5厘、4本塁打、18打点。右投手相手では主に打線の先頭も任され、夏場の反攻を支える重要なピースになっていた。

 チームはこの勝利で66勝57敗とし、ア・リーグ東地区2位。ワイルドカード圏内にはいるものの、この試合前まで7戦6敗と失速していただけに、吉田の離脱が長引けば打線へのダメージは小さくない。ロマン・アンソニー、トレバー・ストーリーらが数日中にマイナーでリハビリ出場を始める見通しとはいえ、好調だった吉田を欠くのでは収支は簡単にプラスへ転ばない。

 ポストシーズンを見据える時期に訪れた、最も避けたかった故障。吉田の「約1か月」という記憶が、今秋のレッドソックスに重くのしかからないことを祈るばかりだ。