〝わんチーム〟で日本一へ――。第108回全国高校野球選手権大会の第7日(11日)第1試合で敦賀気比(福井)が横手(秋田)に10―0で快勝し、3回戦進出を決めた。

 先発した辻琉成投手(2年)が5回無失点で試合をつくり、その後は鶴田(3年)―辻勇(2年)―佐々木(2年)と継投して無失点。打線は初回に後藤(3年)の適時打で先制すると、3回には相手守備の失策もからんで一挙5得点など、13安打2桁得点で主導権を握った。東監督は「本当に選手たちが集中してプレーしてくれた。次に向けていい戦いにできたんじゃないかなと思います」とうなずいた。

 敦賀気比ナインには、優勝旗を届けたい〝もう一人の仲間〟がいる。

 柴犬のオスで、2020年に東監督が知人から譲り受けてチームの一員となった「小哲(こてつ)」だ。かつては「ネコ吉」と呼ばれる猫とともにチームに寄り添っていたものの、2024年に天国へ旅立ったといい、今では小哲がナインを見守る存在だ。

 ナインの日課は1日3回の散歩。練習の前後に時間をつくって1回1時間ほど。練習の時間帯には、けがで練習に参加できない選手が散歩係を務めることもあるという。散歩に加えて、ボール遊びに夢中になるなど、小哲とともに過ごす時間は選手にとっても貴重な息抜き。選手の一人は「大変な時もありますけど、リフレッシュになってます」と笑顔を見せる。

〝小哲効果〟それだけにとどまらなかった。普段は厳しい監督やコーチも、小哲を前にすると自然と表情を緩めるという。厳しい練習の合間に笑顔をもたらし、選手たちの気持ちをほぐす癒やし役でもある。

 そんな小哲の加入をきっかけにチームには「ある変化」が生じた。21年からチームは毎年、春夏いずれかの甲子園大会に出場している。小哲の存在と好成績の因果関係は定かではないものの「モチベーションというか、〝気比の守り神〟みたいな存在です」(前出の選手)。ナインにとっては「小哲がいる」という事実そのものが、心強い支えになっている。

 地元・福井で吉報を待つ小哲のためにも――。敦賀気比は夏の大舞台で、その頂を目指す。