ついに〝野球専門外〟の名門誌まで黙っていられなかったようだ。昨年、創刊100周年を迎えた米老舗誌「ザ・ニューヨーカー」電子版は9日(日本時間10日)、「ドジャースは野球を台無しにしたのか?」と題した記事を掲載。政治、文化、社会問題まで幅広く論じてきた総合誌が、今夏の移籍市場最大の目玉だったタリク・スクバル投手(29)を獲得したドジャースに異例のスポットを当てた。
ア・リーグのサイ・ヤング賞を2年連続で受賞した左腕は、トレード期限前にタイガースから有望株3人との交換で加入。4日(同5日)のカブス戦で移籍後初登板し、6回4安打2失点6奪三振の好投でクオリティスタートをマークした。対して記事が象徴的に紹介したのは、そのリグリー・フィールド上空を飛んだ飛行機だ。「ドジャースが野球を台無しにした」と記された横断幕が掲げられ、球界に渦巻く反感を映し出していた。現在のロースターにはMVP受賞者が3人おり、所属選手のオールスター選出歴は合計49度。数字を並べるだけでも、反感が膨らむ理由は見えてくる。
同誌が問題視したのは、単なる戦力の偏りだけではない。大谷翔平投手(32)らスターを抱える上、今季の給与総額は約4億3000万ドル(約675億円)、ぜいたく税の見込み額も約1億8000万ドル(約283億円)に達するという。現行の労使協定は12月1日(同2日)に失効予定で、オーナー側がサラリーキャップ導入を求める中、ドジャースの膨張が次期交渉の火種になりかねないとの見立てだ。もっとも、チームは8日(同9日)のダイヤモンドバックス戦に延長10回、2―1で勝ち、ようやく7連敗を止めたばかり。巨額投資と勝敗が必ずしも一直線ではないことも示している。
そして、ニューヨーク発の名門誌らしい〝毒〟ものぞく。資金力だけでは勝てない例として、同誌は地元のメッツをわざわざ引き合いに出した。一方、同じニューヨークのヤンキースも期限前にはスクバル獲得候補に名を連ねていたが、最終的に大物左腕を手にしたのは西海岸のドジャースだった。記事の行間からは、ニューヨーク勢を横目にLAがまた主役をさらった構図への皮肉さえ透けて見える。
もっとも、同誌は最後に「ドジャースが野球を台無しにしたわけではない」と結論づけ、スクバルの「どのチームも同じような選手を獲得できる」との主張も紹介。その一方で「サラリーキャップとサラリーフロアの双方は必要だ」とも論じた。創刊1世紀の総合誌が一球団の「金と覇権」をここまで論じた事実は重い。ドジャースは今、勝敗だけでなくMLBの秩序そのものを揺らす存在になっている。












