【取材の裏側 現場ノート】DeNAは25日の中日戦(バンテリン)に1―3で敗れ11カード連続の勝ち越しなし。慢性的な貧打に加え、ボーンヘッド的な拙守も絡む切なすぎるゲーム内容だった。6月の月間成績は4勝13敗。相川ベイはいつまでたっても泥沼から抜け出すことができない。
13まで膨れ上がった借金。最下位・中日とわずか2ゲーム差という現実は今やすっかりAクラス慣れしたファンにとってはあまりにも受け入れがたい。チームリーダーだった桑原(現西武)のFA流出。コックス、デュプランティエら新外国人の誤算など編成上の悪手が続いたことで、ベイ党の怒りの矛先は現場よりも背広組に向かっている。
フロント主導の色彩が濃いDeNAはアナリストを重用し、編成だけでなく選手起用においても彼らの意見を重視する。だがその実態は事実上のブラックボックス。戦略上の機密も多いためファンからすれば内情がつかみにくい。だからこそ表舞台に出てこない彼らは「幕の陰から笛を吹く野球を知らない素人集団」と悪役視されてしまいがちだ。SNS上に噴出する彼らへの不満は批判の域を越え、時に誹謗(ひぼう)中傷に近いものまでエスカレートしてしまう。
果たしてDeNAの「フロント主導・データ重視路線」は本当に機能しているのだろうか――。その輪郭は単年では見えにくいが、10年単位で振り返れば本質はかなり鮮明になる。同路線が本格化したのは2016年のラミレス政権発足以降。ここからのセ・6球団の順位推移を整理すると興味深い事実が浮かび上がる。
【阪神】4位→2位→6位→3位→2位→2位→3位→優勝→2位→優勝(Aクラス8回 平均順位2・6)
【巨人】2位→4位→3位→優勝→優勝→3位→4位→4位→優勝→3位(Aクラス7回 平均順位2・6)
【DeNA】3位→3位→4位→2位→4位→6位→2位→3位→3位→2位(Aクラス7回 平均順位3・2)
【広島】優勝→優勝→優勝→4位→5位→4位→5位→2位→4位→5位(Aクラス4回 平均順位3・2)
【ヤクルト】5位→6位→2位→6位→6位→優勝→優勝→5位→5位→6位(Aクラス3回 平均順位4・3)
【中日】6位→5位→5位→5位→3位→5位→6位→6位→6位→4位(Aクラス1回 平均順位5・1)
DeNAのAクラス入り7回は、巨人と並ぶ2位タイ。平均順位3・2も3連覇を経験した広島と並ぶ3位タイと上位圏をキープする。フロント主導のデータ路線によって同球団は「大崩れしない再現性」を手にしたと言うことができるだろう。(残念なことに今季ここまでは見事に大崩れしているが…)
だが「常に60~70点をとる」アルゴリズムこそ手にしたものの、28年間遠ざかる優勝という「100点満点」には、どうしてもたどり着けていないところに、この球団最大のジレンマがある。
最も対照的なのは最下位→優勝→優勝→5位とジェットコースターのような順位推移を記録しているヤクルト。「最下位も多いが10年内で2、3回は優勝してくれるチーム」と「常にAクラス入りは果たすが優勝はできないチーム」。ファンの満足度が高いのはどちらのチームなのだろうか? 経営的に正しいのはどちらのチームであるとDeNAのフロントは認識しているのだろうか?
指導者経験も豊富な球界OBは「現代野球でデータを無視して優勝できるチームなどない」とDeNAの路線に一定の理解を示しながら「かと言って〝机上の空論〟だけで優勝できるほどプロの世界は甘くはない」とも語る。心身を極限まで追い込むキャンプでの猛特訓。勝負所の秋で主力救援投手を酷使する激しい用兵。病的なまでのコンディション管理への執着。歴代の本当に強かったチームは、時に理不尽すら自軍の武器に変えてきた。
ここ数年「優勝へのラストピース」を探し続けてきたDeNA。その答えはまだ見つかっていない。狂気、エゴ、怒り、飢え、周囲の批判をものともせぬ頑固さ――。現代型スポーツチームが排除しようとしているものの中にこそ、そのピースは隠れているのかもしれない。
チーム最後の優勝は1998年。サッカーW杯フランス大会に日本代表が初出場した年だ。優勝という名の十字架は28年も丘の上に野ざらしにされたまま、今も恨めしげにハマスタを見下ろしている。
(遊軍担当・雨宮弘昌)












