プロレスは、ただ技を並べれば成立するものではない。6月27日、福岡国際センターで行われる九州プロレス設立18周年記念大会「九州超元気祭」を前に、TAJIRIが語ったのは、“どう伝えるか”という部分だった。「やっぱり初めて見る人が多いですからね」。地方大会には初めてプロレスを見る人が多い。家族連れや子供たちも多い。その中で、リング上で起きていることをどう伝えるかは、試合そのもの以上に重要になる。

 TAJIRIは「子供って、面白くなかったら本当に見ない」と語る。大人のように“知識”で見るわけではない。目の前で起きていることが面白いかどうか。その反応は極めて素直だ。だからこそ、「分かりやすさ」は欠かせない。ただ難しいことを並べてはいけない。「自分のやりたいことばっかやっちゃうわけですよ」。レスラーが自分のやりたいことばかりをやってしまうことに、TAJIRIは現在のプロレス界全体にも通じる課題を感じている。

 もちろん、単純に分かりやすければいいという話でもない。技術や駆け引き、その選手ならではの色も必要になる。ただ、それをまず観客に届けられなければ意味がない。リングの中で何が起き、誰が優勢で、何を狙っているのか。その流れが伝わってこそ、観客の感情も動いていく。実際、観客の反応は自然に生まれるものだ。無理につくるものではない。試合の流れや空気が伝われば、会場は自然と動き始める。リング上と客席、その両方がかみ合った時に、初めて会場全体の熱が生まれていく。

 TAJIRIは「お客さんが本気になったかならなかったかだけ」とも語った。笑うでも、熱くなるでも、驚くでもいい。観客の感情が本気で動いた時、初めて試合は成立する。6月27日の福岡国際センターでも、リング上ではさまざまな試合が展開される。ただ、その裏側では、どう伝え、どう感情を動かすかという組み立てこそが重要になる。その積み重ねこそが、「九州超元気祭」を支える最大の要素になっている。