かくすれば、かくなるものと知りながら、やむにやまれぬ猛虎魂――。阪神は10日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)に2―6で敗れ、ついにセ・リーグ首位の座から陥落した。

 球場内に虎党たちの怒号が巻き起こったのは、2―3と1点のビハインドを追う7回の攻撃の場面だ。熊谷が中前打で出塁し一死一塁とすると、次打者・立石の打席の間に二盗を敢行。アウトと判定されたため、藤川球児監督(45)はすぐさまリプレー検証をリクエストした。

 球場内やお茶の間に映し出された映像は、鷹虎双方のファンに「セーフ」と思わせるものが多かった。だが長時間のビデオ検証を終えた結果、判定は覆らず。藤川監督はすぐさまベンチを飛び出し責任審判の福家三塁塁審に抗議してしまい、アグリーメントにのっとり退場処分を下されてしまった。

 ゲームの最重要局面で「一死二塁」となったであろう場面を「二死無走者」とされた虎将は、ベンチ内のホワイトボードを火の玉が宿った右の拳で怒り任せに殴りつけながら姿を消した。試合後には「グラウンド上の両チームは必死にやっている。こういうことはチームの代表としてはね」と振り返り、退場処分は覚悟の上での抗議であったと明かした。

 ここ数年、鬼門にしている交流戦は今季も4勝8敗の8位と大苦戦。指揮官もなりふり構わぬ妥協なき采配で打開策を模索しているが、状況はなかなか好転しない。

 この日の試合前に、登録抹消が公示されたのはプロ13年目の捕手・梅野。前夜9日のカード第1戦で計6被弾10失点を喫し「気持ちよく相手にスイングをされている。それをどう崩すかはバッテリーでやっていかなければならない」と藤川監督から苦言を呈された直後の措置だった。非情かつ迅速な二軍降格は、藤川虎の最重要ドクトリンである「淘汰(とうた)の原則」を周囲に改めて強烈に印象付けた格好だ。

 だがこの日も虎バッテリーは、強力鷹打線を抑え切れず計3被弾で力負け。2夜連続で続いた似たような光景は、皮肉以外の何物でもなかった。捨て身の抗議も苛烈(かれつ)な用兵も結果的には空回り。真綿で首を締められるような不快な季節の中、貯金だけが少しずつ目減りしていく。