諦めるには、まだ早い。ブルージェイズは5月31日(日本時間6月1日)のオリオールズ戦を5―9で落とし、29勝31敗。ア・リーグ東地区3位で首位レイズとは9ゲーム差、ヤンキースにも7・5ゲーム差をつけられている。借金2という数字だけを見れば苦しいが、米スポーツ専門局「ESPN」と提携を結ぶカナダスポーツ専門局「TSN」電子版は、6月入りを前にしたチームに「挽回の余地は十分ある」との見方を示した。

 根拠は昨季の「再現性」だ。ブルージェイズは2025年も60試合終了時点で31勝29敗にとどまりながら、その後は63勝39敗と一気に加速した。今季の同時点は昨季よりわずか2勝少ないだけ。3、4月は14勝17敗と出遅れたが、5月は15勝14敗と勝ち越し、まだ確かに底を抜けたとは言い切れない。

 カギを握るのは、やはり主軸の復調と故障者の帰還だ。ウラジーミル・ゲレロ内野手(27)はここまで打率2割9分8厘、3本塁打、24打点。出塁率3割9分2厘と塁には出ているものの、昨季同時期の8本塁打に比べれば長打力は物足りない。だが同局は、全盛期にある主砲はいずれ数字を戻すと指摘。ジョージ・スプリンガー外野手(36)も足の指の骨折などで60試合中40試合の出場にとどまり、打率2割1分2厘、5本塁打、14打点に沈むが、実績組2人が上向けば打線の見え方は一変する。

 加えて、親指骨折で離脱中のアレハンドロ・カーク捕手(27)、前腕の張りから復帰を目指すマックス・シャーザー投手(41)らの存在もある。先発陣にはディラン・シーズ投手(30)らにも不安材料を抱えるが、ロス・アトキンスGM(52)はパトリック・コービン投手(36)の補強など小刻みな手で穴をふさいできた。派手な大型補強だけではなく目先の失点を止める現実的な手当てが、何とかチームを圏外へ沈ませずにいる。

 そして見逃せないのは岡本和真内野手(29)だ。打率2割1分4厘ながらチーム最多の12本塁打、33打点をマーク。三振77は課題でも、一振りで流れを変える「カズマ・オカモト」のパワーワードは、反攻ムードを呼び込む材料になる。トロントが目指すのは単なる10月進出ではなく、再び頂点をうかがう戦いだ。ワイルドカード争いでは圏内に踏みとどまる位置。ゲレロが目覚め、岡本が長打で支え、故障者が戻れば、ブルージェイズの6月はまだ十分に熱を帯びる。