首位に不思議の首位あり――。負けているのに沈み切らない。むしろ交流戦の黒星が、虎の方位磁石を狂わせている。阪神は28日、日本ハム戦(甲子園)に2―4で敗れ、交流戦開幕カードでまさかの3連敗を喫した。甲子園での同一カード3連敗は藤川球児監督(45)就任後初。同率で並ぶヤクルトの結果にも救われ、首位タイの座は辛うじて守ったものの3試合の中身は明らかに重い。

 昨季も交流戦では7連敗を含む8勝10敗と負け越しながら、最後はリーグ優勝まで突っ走った。今年の3連敗発進も、結果的に「吉兆」へ変わるのか。それとも、今年こそ本物の鬼門なのか。何とも不可思議な空気が漂っている。順位表だけを見れば首位。それでも体感温度は、首位チームのそれではない。

 プロ初先発の木下里都投手(25)は2回まで最速159キロの直球を軸に快調だった。だが、1―0の3回に先頭打者への四球から流れが暗転。一死後に日本ハム打線へ3連続長短打を浴び、一挙3失点で主導権を手放した。4回5安打3失点。素材の力は見せた一方で、交流戦の怖さも刻まれた。

 打線も湿った。初回に大山悠輔内野手(31)の右前適時打で先制しながら、日本ハム・福島を攻略し切れない。9回には佐藤輝明内野手(27)が柳川からリーグ単独トップの13号ソロを放ったが、反撃はそこまで。6番で先発したドラフト1位・立石正広内野手(22)も4打数無安打で、14打席連続無安打となった。華はある。だが、線にならない。首位の攻撃というより、打線全体が見えない膜に覆われているようだった。

 4回以降の救援陣は踏ん張ったものの、9回に痛い追加点を許した。試合後、藤川監督は「甲子園での野球」を課題に挙げ「ホームランは華」としつつ、連動して勝つための「自己犠牲」の必要性にも言及した。首位チームの言葉としては、むしろ危機感がにじむ。

 29日からはロッテ3連戦(ZOZOマリン)。昨季の交流戦7連敗は結果的に優勝ロードの一部になったが、同じ理屈が今年も通用する保証はない。負けても首位に残る不思議な強さか、首位だからこそ見えにくい危うさか。藤川阪神は今、交流戦という名の「鏡」に素顔をのぞき込まれている。