今季のMLBで、早くも監督交代の波が広がっている。しかも解任されたのは、実績の乏しい新人指揮官ではない。レッドソックスは4月25日(日本時間26日)、2018年にワールドシリーズ制覇へ導いたアレックス・コーラ監督(50)を、開幕27試合で10勝17敗と出遅れた責任を問う形で解任。わずか3日後の同28日(同29日)には、フィリーズがロブ・トムソン監督(62)を更迭した。22年途中に就任して同年ワールドシリーズ進出を果たし、その後も毎年ポストシーズンへ導いた指揮官も、9勝19敗、直近12戦11敗の急失速を前に守られなかった。
米放送局「CNN」電子版は相次ぐ途中解任を受け、現代のMLB監督業の実像に踏み込んだ。ある元GMは「監督はGMと同じで、解任されるために雇われる」と表現。皮肉のようにも聞こえるが、これは監督不要論ではない。むしろ数字では測り切れない責任だけが、最後に監督の背中へ集中するという現実を突いている。
かつて監督は球団の顔であり、戦術の発信源だった。誰を使い、どう戦うかを決める権限も大きかった。しかしながら今は違う。打順、継投、守備シフト、選手起用にはフロント主導のデータ分析が深く入り込む。選手には専属トレーナー、代理人、外部施設のコーチまで付き、クラブハウスには情報があふれる。監督の仕事は「采配を振るう人」から無数の声を整理し、選手に納得させ、チームを一つに保つ調整役へと変わった。
だからこそ難しい。勝てば組織の総合力、負ければ監督の求心力不足と見られる。半年間で162試合を戦う中、主力の不振、接戦の敗北、ファンの怒り、メディアの批判を毎日受け止める。ある現役コーチは「162試合をこなすとなれば、人柄は重要になる」と語っている。数字に残らない空気、亀裂を広げない会話力、選手を守る胆力。それらは成績表には載らないが、崩れた時だけ一気に可視化される。
コーラ氏もトムソン氏も、実績だけを見れば簡単に切れる監督ではなかった。それでも球団は動いた。高額年俸の選手を大幅に入れ替えにくいシーズン序盤、最も早く変えられる「声」が監督だからだ。解任は怒れるファンへの儀式的な生贄(いけにえ)でもあり、停滞した空気を変える最後のカードでもある。現代野球はすべてを数値化しようとする。
だが、すべてが数値で説明できるなら、監督交代はここまで繰り返されない。MLB監督とは、権限を削られながら責任だけは残る仕事。栄光を知る名将でさえ、わずか1か月で切られる。その切なさにこそ、現代メジャーの冷徹な深層がにじんでいる。












