韓国の尹錫悦前大統領が2024年12月に出した「非常戒厳」をめぐる自身への逮捕状執行を妨害したとして特殊公務執行妨害の罪などに問われた控訴審で、ソウル高等法院刑事第1部は29日、一審よりも重い懲役7年(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。尹被告の弁護人は上告する意向を示した。
尹被告は、大統領警護処を動員して高官犯罪捜査庁(高捜庁)の逮捕状執行を妨害した罪、非常戒厳宣布時に国務委員の戒厳審議権を侵害した罪、戒厳宣布文を事後に作成・廃棄した罪、非常戒厳宣布後に外信(海外メディア)に対して虚偽の公報を指示した罪、軍司令官らの秘匿電話の通話記録を削除させた罪などに問われていた。ざっくりと括れば〝権力乱用〟だ。
一審では、懲役5年を言い渡していたが、控訴審では、一審で一部無罪だったものが罪の成立を認めた。
なお、尹被告は、非常戒厳を巡る内乱首謀罪で、今年2月に無期懲役の一審判決を受けた。求刑は死刑だった。尹被告と特別検察官の双方が控訴した。こちらは〝内乱〟で、今回の〝権力乱用〟とは別の事件扱いとなる。
韓国では尹被告だけでなく、朴槿恵元大統領、李明博元大統領ら歴代大統領経験者の多くが賄賂かクーデターで逮捕→有罪となっている。
韓国事情通は「韓国では政権が変わると前政権の不正を徹底的に洗うという政治文化があります。なぜなら、大統領は検察や軍、官僚への人事権、政策決定などの権限が強すぎる上、任期中は原則として起訴されません。だから、任期が終わると絶対権力を握っていたツケを払わされるのです。これは、軍事政権時代の反省や民主化運動の歴史により、不正は必ず清算すべきだという土壌があるからです」と指摘している。
尹被告もその歴史の法則をたどっていると言えそうだ。












