5月は本格的なナフサ危機に見舞われるのか。ホルムズ海峡の事実上の封鎖で、原油精製のナフサが供給不足に陥り、各所に影響が出ている。企業から悲鳴の声が上がる中、身近なところでは値上げを通り越し、販売休止の事態に発展している。

 埼玉県内を中心にぎょうざや中華料理を提供する「ぎょうざの満洲」(埼玉・川越市)は29日、5月1日から関東の店舗を対象に冷蔵生ぎょうざ(12個入り)の販売を休止すると発表した。プラスチックのトレーが使われており、石油由来原料の不足を理由に挙げている。

 冷蔵生ぎょうざはおみやげ用の人気商品とあって、利用者からは「こんな身近なところに影響が出るなんて」と驚きの声が上がっている。ほかにもオタフクソース(広島・西区)は業務用ソース(20リットル)の一部商品を販売休止すると先日、報じられ、同じく包装容器の確保困難が原因とみられている。

 2月28日に米国、イスラエルがイランを攻撃して以来、ホルムズ海峡をタンカーなどが通過できなくなり、ガソリンだけでなく、ナフサが深刻な供給不足となり、価格が高騰しているだけでなく、塗料やシンナー、食品包装用のトレーやフィルムなどサプライチェーン(供給網)で目詰まりが生じている。政府はナフサの国内需要4か月分を確保しているとの見解を示しているが、ゴールデンウイーク明けからさらなる価格への転嫁や供給不足による販売休止が加速すると予想されている。

 29日に出光興産傘下のタンカー「出光丸」がペルシャ湾からホルムズ海峡を通過した。イラン攻撃後、日本船タンカーの初の通過となり、希望の光がさしこんだかに見えるが、イランのプロパガンダに利用されたとの見方が大勢だ。

 在日イラン大使館は、1953年に出光興産が経済封鎖下のイランから石油を日本に運んだ日章丸事件を持ち出し、「両国間の長きにわたる友情の証であり、そのレガシーは今日においても極めて大きな意義を持ち続けています」とXに投稿。高市早苗首相は「全ての国の船舶がホルムズ海峡を自由で安全に通過できるよう、引き続きイラン側に働きかけてまいります」と声明を出したが、先行きは見通せないままだ。