海を渡って、いきなり答えを出した。ホワイトソックス・村上宗隆内野手(26)が、MLB初年度から快調なスタートを切った。デビュー月間の3、4月は日本人最長タイの5試合連続弾を記録し、28日(日本時間29日)時点でア・リーグトップタイの12本塁打を放ち、打点でも上位に食い込むなど、地元シカゴのファンをはじめ米国でも評価は日に日に高まっている。アーチ量産のロケットスタートの裏には、ストライクゾーンを瞬時に読み替える〝モンスター・アジャスト(異常順応力)〟がありそうだ。
当初の予想を覆す活躍に、称賛の嵐が鳴りやまない。村上は昨オフ、ヤクルトからポスティングシステムでホワイトソックスへ移籍。NPBで2度のMVP、史上最年少3冠王など長距離砲として輝かしい実績を誇る一方、MLBスカウトからは三振数の多さなど確実性に欠ける点を懸念され、総額3400万ドル(約53億7000万円)の2年契約と、MLB市場では〝控えめ〟な条件での入団となっていた。
複数年にわたってNPBでのプレーを視察し、MLBでの適性を見極めてきたスカウト陣にとっても、現在の村上の躍動には多くが思わず「恐れ入りました」と頭を下げるほど想定を上回るものだという。その一方で、日本時代とは「確実に違う」打席内での変化も感じ取っている。
それは「球種に関わらず、両サイドの低めを追いかけなくなった」というストライクゾーンへの対応だ。実際にア・リーグのスカウトは「NPBよりもMLBのストライクゾーンの方が狭いことを理解している。追い込まれるまでは、日本時代よりも目線をボール1個分高くして、待つゾーンや球種もさらに絞って打席に入れているのは間違いない。だから三振数は日本の時とさほど変わらないが、四球は確実に増えている」と指摘。公式戦スタートから日米のストライクゾーンの違いに戸惑うことなく打席を消化できていることが、好調の下地となっている。
MLBでは今季から機械判定を用いたABSチャレンジシステム、いわゆる「ロボット審判」が本格的に導入され、選手もストライク、ボールの判定にチャレンジを行使すれば異議を唱えることができる。MLB内では新制度の導入前と比べ、一般論としてストライクゾーンは若干狭まった傾向にあると言われており、特に両サイドの低めはこれまで審判の手が上がっていたコースでもボールと判定されるケースが増えているという。
この流れは打者にとって、昨季までより有利に働く。追い込まれるまではより自分の狙ったコースに的を絞り、自分のスイングに集中して投手と勝負できるためだ。MLBの「昨年比」よりもさらにゾーンが広いNPBで、昨季までもまれてきた村上にとって今季のMLBのストライクゾーンは実を言えば感覚的に対応しやすい面もある。
もちろん、この変化を結果につなげているのは本人の準備力だ。スカウトは「これは彼の研究熱心さがたたえられるべき」と新天地のトレンドを事前に頭へ落とし込み、打席内のパフォーマンスにつなげている点に拍手を送る。技術だけではない。環境の変化を即座に読み替える〝異常順応力〟こそ、村上の快進撃を支えるもう一つの武器になっている。












