ネックは「慣れ」だけか――。NPBで導入可否が検討されている「ピッチクロック」「ピッチコム」について、MLBでルール変更されたシーズンを経験した助っ人左腕が体験談を告白した。

「全然難しいことではなかった」と振り返ったのは来日3年目のセットアッパー、テイラー・ハーン投手(31=広島)だ。レンジャーズやロイヤルズなどでキャリアを積み、投球の時間制限などが設けられた2023年もMLBでプレー。導入に際し「投手の故障リスク」を巡って盛んに議論されたが、ハーンは「確かにそういう議論があった。でも、多くの投手は投げていくにつれ、プラスの感覚を覚えるようになったね」と証言した。

ピッチクロック導入について語った広島・ハーン
ピッチクロック導入について語った広島・ハーン

 試合時間の短縮が主な目的で、現行のNPBルールのように〝間〟を使いながら打者と駆け引きすることは難しくなる。しかし、ハーンは「逆に投球が簡単になった。なぜ簡単かと言うと、全部機械がやってくれる。(球種やコースの)サインもバントシフトもピッチコムで言ってくれる」と前向きに受け止められたという。

 電子機器のピッチコムが取り入れられたことで、バッテリー間の作業は「サイン交換」から「サイン伝達」に変化。機器を使ったやりとりに慣れることで「(直前の投球を受けた)捕手が投手に球を投げ返す前に次のサインを決めてくれる。そうすることで、投手はそれまでよりもマウンドでもっと時間を取れる。そういうふうに変えていけば、全然問題ないはずさ」と話した。

 そして、来季以降のNPBで新ルールを採用するべきかどうかについては「個人的な意見」と前置きした上で「導入すべき」とキッパリと言い切った。

 現在、プロ野球選手会がピッチコムの早期導入をNPB側に要望。ピッチクロックについては意見をまとめる必要があるとしている。いずれにせよ、ルールを変更するには選手側の準備期間も不可欠。日本の投手たちは幼少期から培ってきた投球時の感覚を、新たな環境に適応させなければならない。ハーンの経験では大きな混乱はなかったというが、果たしてどうなるか。