ホワイトハウス記者会が主催した25日夜の晩餐会で発砲事件が起き、衝撃が走っている。男がワシントン・ヒルトンホテルに侵入し、トランプ大統領と約2500人の来場者が集まっていた宴会場に向かって突進した後、逮捕されたのだ。イラン戦争やガソリン高などで支持率が落ちていたトランプ氏だが、今回の襲撃未遂を受けて、また人気を取り戻すかもしれないとささやかれている。

 男はロビーのセキュリティー検査エリア付近で4~8発発砲。シークレットサービスはトランプ氏を即座に退避させ、閣僚たちはテーブルの下に身を伏せた後、避難した。シークレットサービス1人に弾が当たったが、防弾ベストを着ていたため無事だったという。

騒然となった晩餐会(ロイター)
騒然となった晩餐会(ロイター)

 男はショットガン、拳銃、複数のナイフを所持して検査エリアに突入した。現時点では単独犯とみられる。

 発砲した男は、カリフォルニア州トーランス在住の教師コール・トーマス・アレン容疑者(31)。本人のビジネス特化型SNSリンクトインのプロフィルによると、学習塾・試験対策企業の教師だった。2017年にカリフォルニア工科大学を機械工学の理学士として卒業。その後、カリフォルニア州立大学でコンピューターサイエンスの理学修士号を取得した。

 事件後、すぐにトランプ氏はホワイトハウスで記者会見を行い、「誰にもわれわれの社会を支配させない。こんなことでイベントを中止するわけにはいかない」と訴えた。

 また、記者から「なぜこのようなことが繰り返しあなたに起きるのだと思うか」と質問されると、「最も大きな影響力を持つ人々こそ、(銃撃犯が)狙う対象だ。彼らは、あまり貢献していない人々を狙わない。なぜなら、彼らは現状維持を望んでいるからだ」と答えた。

 事件が米国とイランの戦争と関係しているかとの質問には、「そうは思わない」と答えたが、後に「イランが核兵器を持つことはあり得ない。とても単純な話だ」と語るなど、揺れる発言を見せた。

 トランプ氏は何度も暗殺未遂に遭っている。2016年6月にラスベガスの選挙集会で、20歳の英国人の男が警察官の銃を奪おうとして逮捕された。

 24年7月には、ペンシルバニア州バトラーでの選挙集会中にトランプ氏の耳を撃ち抜かれる事件が起きた。撃った男はその場で射殺された。銃撃後、血を流しながら拳を突き上げるトランプ氏の姿は広く拡散された。

 ほかにもゴルフ場でライフルで狙われたこともあったし、今年2月にはフロリダ州のトランプ氏の別荘に不法侵入しようとした男がシークレットサービスに射殺されたこともあった。

 米国大統領の多くは、暗殺および未遂に遭っており、そのたびに国家的なドラマとなった。米国史上初めて暗殺されたリンカーン、ジョン・F・ケネディはともに伝説化されている。レーガンは銃撃後の強さが支持率上昇につながった。

 米国事情通は「大統領の暗殺未遂は、国民感情を大きく動かします。その前までどんな言動をしていても、被害者になることで同情、共感が集まり、命を狙われるほど重要な人物として支持が強まります」と指摘した。

 続けて、「トランプ氏は大統領選挙中の集会で銃撃された後、拳を突き上げたシーンが伝説になりました。今回もすぐに記者会見で『影響力がある人物ほど狙われる』と言いました。何度も命を狙われたトランプ氏は、暗殺未遂による国民感情の動きを熟知しており、暗殺を恐れず立ち続けるリーダー像を演出しました。イラン戦争などによる支持率低下をひっくり返すかもしれません」と話している。

 イラン戦争への影響はあるのか。