沈みかけた名門に、もう猶予は多くない。メッツは19日(日本時間20日)、敵地リグリー・フィールドでのカブス戦に1―2で敗れ、今季7勝15敗。ナ・リーグ東地区最下位に沈み、同日時点でメジャー全体でもロイヤルズと並ぶワーストタイの勝率となった。直近の失速は、もはや偶然では片づけられない。

 米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が突きつけたのは、再建の青写真というより「残り10日が今季の分岐点」という現実だ。同記事は、ツインズ、ロッキーズ、ナショナルズとの今後9試合で6勝3敗以上が必要と整理。その上で小手先の修正ではなく、主力が一斉に不振から抜け出すしかないと断じている。打者では27歳の左翼手MJ・メレンデス、投手では33歳の先発右腕クレイ・ホームズと24歳の先発右腕ノーラン・マクリーンを例外に挙げ、他の選手に対しては「もっと危機感を覚えなければならない」という厳しい論調だった。

 しかも7勝15敗で借金8の開幕スタートから84勝以上まで戻した例は、記事内の集計でも過去139チーム中わずか11例しかない。もちろん4月だから終戦ではない。だが、4月だからこそ傷口を浅く止めなければ、夏を待たずに勝負圏から脱落する。前出のジ・アスレチックが「次のホーム9試合」をシーズン救済の期限とみなす理由は、そこにある。

 実際、数字は重い。メッツは22試合で72得点、チームOPS・624でメジャー29位。看板級のフアン・ソト外野手(27)が10日間の負傷者リスト(IL)入りとなっている事情はあるにせよ、打線全体の迫力不足は明白だ。

 そこで重くのしかかるのが、先発右腕・千賀滉大投手(33)だ。今季ここまで0勝3敗、防御率8・83、22奪三振、WHIP1・90。2023年から契約金500万ドル(約7億9000万円)を含む5年総額7500万ドル(約119億円)の大型契約を結び、今季で4年目を迎えているだけにローテーションの柱として沈むチームを押し返せていない現状は厳しく映る。現在もNYメディアから「戦犯」としてすさまじいバッシングを浴びせられているが、弁明の余地などないだろう。

 ジ・アスレチックの提言を突き詰めてポジティブに解釈すれば、メッツ再生の条件は決して難しくない。高額戦力が高額戦力らしく働くこと。その象徴こそが、千賀の立て直しである。