ブルペンの小さな流行にも、今のLAらしい空気がにじむ。左腕タナー・スコット投手(31)が、またしてもドジャースで「主役」になっている。今度は白球ではなく、クラブハウスの空気をざわつかせるファッション騒動だ。ドジャース専門メディア「ドジャーブルー」は、スコットがブルペン陣向けに特注した〝ツバなし帽子〟がチーム内で話題になっていると報道。これをエドウィン・ディアス投手(32)やミゲル・ロハス内野手(37)が気に入って着用した一方で、アレックス・ベシア投手(29)は同調しない姿勢を明確にしたという。

 一見すれば、ただの小ネタだ。しかしながらスコットが前に出ると妙に熱を帯びるのは、それだけ昨季の印象が強烈だったからでもある。移籍1年目の昨季は61試合で防御率4・74、メジャーワーストとなる10度のセーブ失敗と大きく期待を裏切り、まさにファンの不満を一身に浴びる「悪役」となった。それでもなお球団側は復調を見込んでおり、今季は守護神にディアスを据え、4年契約の2年目となるスコットをより生かしやすいセットアッパー寄りの役割で使う構想を描いている。

 だからこそ、この帽子騒動はただの悪ふざけでは終わらない。昨季試合を壊した左腕が、今度はブルペン文化まで自分色に染めようとしている――。そう邪推されれば、ファンの神経を逆なでするには十分なトピックスとなるだろう。

 もっとも、結果が伴えば話は変わる。スコットが再び信頼を取り戻すには〝帽子の支持率〟よりも先にアウトを積み上げるしかない。ヒールのまま終わるか、それとも信頼を取り戻してヒーローに返り咲けるか。ドジャースのブルペンでは今、その境目が静かに試されている。