阪神が21日のオープン戦(京セラドーム)でオリックスに1―0勝利。わずか4安打でたった1点だが、されど1点だ。両軍合わせて7安打と決して派手な試合ではなかったものの、だからこそ今の阪神の〝いやらしい強さ〟が浮かび上がった。

 唯一の得点場面は決勝点が入った3回だった。先頭・近本が右翼への二塁打で出塁すると、続く中野の犠打で一死三塁。ここで森下翔太外野手(25)が内角高めのシュートを右方向に転がし、二ゴロの間に三走・近本を生還させた。森下はもちろん、打ちにいってはいたのだが「内野が後ろなのは見えていたんで」と冷静に1点を確定させた。

 もともと阪神打線はセ・リーグ随一の陣容を誇る。近本、中野が好機を演出し森下、佐藤輝、大山らの破壊力で得点するパターンは定型。にもかかわらず、内野ゴロで1点を奪うオーソドックスなスモールベースボールまで徹底されれば、他チームからすればたまらない。1990年代に秋山、清原、デストラーデを擁した西武が黄金時代を築いたかのような野球に、今季の阪神の不気味さが際立つ。

 投げては開幕第2戦、28日の巨人戦(東京ドーム)での先発が目される高橋が先発し、5回を2安打無失点。特に2回は杉本、太田、シーモアを三者連続空振り三振に斬り捨てた。それぞれスライダー、直球、ツーシームで空振りを奪う内容に、本人も「いろんなボールで空振りが取れたのは良かった」と振り返った。

 6回以降は2年目右腕・古川、新助っ人のモレッタ、桐敷、岩崎がゼロでつなぎ完封リレーで試合を締めた。オープン戦とはいえ、藤川阪神は結果を積み上げ、首位・巨人に0・5ゲーム差の2位。もともと地力が十分なチームが、派手さのない1―0の白星を拾うしたしたたかさまで備えれば、今季のセ界も席巻する姿が予想できる。

 連覇、日本一奪還を目指す藤川阪神。「シーズンが始まればいろんなことがありますから。さらに気を引き締めてやっていきたい」と話す虎将が、他球団を震え上がらせるだけの〝王者の完成度〟をチラ見せさせた京セラドームの1戦だった。