阪神・藤川球児監督(45)の言葉には、開幕構想の本音がにじんでいた。WBC組の主力が戻り、チームはいよいよ本番モード。ほぼベストに近い布陣で18日のロッテ戦(ZOZOマリン)に臨んだ中、指揮官があらためて示したのは「5番・大山待ち」という基本線だった。

 この日は「3番・右翼」に森下が入り、2打席目の3回に左越え2ラン。続く4番にはDHの佐藤輝、5番・左翼には2試合連続で中川を起用した。この3人でクリーンアップを組むのか。6―2で勝利した試合後、そう問われた藤川監督は「どうでしょうねぇ。その。まあ、大山で待つということは変わらないですね。タイガースとしては」と語り、5番・大山が本命である考えを明確にした。

 5年目の中川は、キャンプから打力アップを猛アピール。この日も2打数2安打と結果を残し、オープン戦通算では打率3割6分1厘、2本塁打、7打点と数字を積み上げている。WBC組不在の期間は「3番・左翼」として打線の流れを生み、復帰後は2試合連続で「5番・左翼」で起用された。試合前には藤川監督と話し込む場面もあり、期待の高さもうかがわせた。

 中川の奮闘は、現状の阪神打線において目に見える好材料だ。左翼争いを活性化させるだけでなく、打線全体にも刺激を与えている。ただ、藤川監督の頭の中にある開幕ベスト布陣をたどれば、やはり「5番・大山」が基本線なのだろう。佐藤輝、森下、大山と続く並びが相手バッテリーに与える威圧感は、やはり別格だ。

 中川の5番起用は、近い将来の理想形へ向けた過程であり、同時に実力テストでもある。スロースターターの大山の状態が整うまで打線の流れを止めず、なおかつ競争も促す。中川が結果を残し続ければ、打線の層はさらに厚みを増す。

 WBC組の合流で開幕へ向けた空気が引き締まる中、藤川阪神は着実に開幕仕様へ近づいている。そのラストピースを理想的に埋めるのは、やはり「5番・大山」なのかもしれない。