ドジャースの育成力の底知れなさを、またしても物語るエピソードだ。米有力専門誌「ベースボール・アメリカ」はドジャース傘下のパトリック・コーペン投手(24)が、打球直撃で右目に深刻な損傷を負いながらも復活を遂げた軌跡を詳報した。コーペンは右投げ右打ちの長身右腕で、マーシャル大から2023年ドラフト7巡目で入団した有望株。今春は非ロースター招待選手として、メジャースプリングトレーニングにも呼ばれている。
記事によれば、コーペンは24年シーズンにローA(1A)ランチョ・クカモンガでスタートし、ハイA(上位1A)グレートレイクスまで昇格。球種構成の見直しと自信の回復を武器に、巻き返しのシーズンを送っていた。ところが同年8月20日(日本時間21日)、その流れは一変する。ブルワーズ傘下の有望株クーパー・プラット内野手(21)が放った痛烈なライナーが顔面付近を直撃。右目の網膜剥離を含む重傷を負い、その後、右目の視力を失ったと告げられたという。
それでもドジャース側は、ここで手を離さなかった。投球を続けられるよう全面支援し、同年12月にはマウンドでの投球を再開。視界がゆがんだ状態での投球フォーム、走者への対応、投手守備、制球の感覚まで一つひとつ順応させていった。本人も出演したポッドキャスト番組「From Phenom To The Farm」で、再び投げられた時は「最高の気分だった」と振り返っている。単に「復帰できた」で終わらないのが、この話のすごみだ。
コーペンはその後も結果を残し、25年にはハイAグレートレイクスから2Aタルサへ昇格。球団内の評価を立て直し、26年のブレーク候補として再び注目を浴びるところまで戻ってきた。
大谷翔平投手(31)、山本由伸投手(27)、佐々木朗希投手(24)といった主役級の陰で、壊れかけた原石まで戦力候補へ押し戻す――。この執念深い育成ラインこそ、今のドジャースの本当の強さだ。片目の視力を失ってしまうという苦境を乗り越えた24歳右腕がメジャーの扉をたたく日が来れば、〝投手王国〟の厚みはまた一段と増す。













