米国の敗北が、まさかインドにまで〝飛び火〟するとは誰が想像したか。17日(日本時間18日)の第6回WBC決勝戦(ローンデポ・パーク)でベネズエラが米国を撃破すると、その余波は野球大国の枠をあっさり飛び越えた。ムンバイを拠点とするインドメディア「ファーストポスト」は、トランプ米大統領が試合前後に放った政治的な投稿に大きく注目。クリケットが国技級の人気を誇るインドですら、この一戦を単なる野球の結果ではなく、政治色を帯びた国際ニュースとして扱った。

 その火種は、ベネズエラの決勝進出直後に投下された。トランプ氏は自身のSNSで「STATEHOOD,#51,ANYONE?(51番目の州はどうだ?)」と投稿。さらに米国が決勝で敗れても、素直に負けを認めず今度は「STATEHOOD!!!(州にしろ!)」と再び書き込んだ。ベネズエラを「米国の51番目の州にしてはどうか」と挑発的な文言を投げかけた。さすがに冗談としては、片づけにくい。相手国を見下した上で挑発し、政治的優位まで誇示するようなニュアンスを帯びていたからだ。

 だが、現実はその〝上から目線〟を容赦なくひっくり返した。勝ったのはベネズエラ。米国をのみ込んだのは、トランプ氏の威勢のいい言葉ではなく、ベネズエラの勢いと執念だった。結果として「STATEHOOD!!!」は威嚇でも余裕でもなく、敗者側から飛び出した空回りの絶叫として映る格好になった。

 しかも、それをインド発メディアが政治の文脈で拾った意味は小さくない。野球の本場でもない国が、この決勝を「トランプ発言が裏目に出た象徴的事件」として報じた事実こそ衝撃だ。

 米国の黒星は、スコア以上に重い。トランプ氏の発言は相手を揺さぶるはずが、結果的にはベネズエラ初優勝を際立たせる〝ブーメラン〟になった。インド発の視線まで巻き込んだ今回の騒動は、WBCがもはや野球だけの大会ではないことを、あらためて浮き彫りにする格好となった。