ドジャースのミゲル・ロハス内野手(37)を巡る騒動は、単なる「誤記」では片づけにくい。フィリーズのヨハン・ロハス外野手(25)が禁止薬物規定違反で80試合の出場停止処分を受けたニュースで、米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のエバン・ドレリッチ記者が16日(日本時間17日)に自身のXで一時、ドジャースのミゲル・ロハスの名前を誤って投稿した。実際に処分を受けたのは同じ「ロハス」でもヨハン・ロハスで、MLBも同日にその処分を公表している。

 ミゲル・ロハスが怒ったのは、名前の取り違え以上に「ドジャース」と球団名まで添えられた点だった。17日(同18日)に放映されたポッドキャスト番組「ベースボール・トゥデイ」に出演し、ホスト役の人気司会者クリス・ローズ氏(55)との対談では「タイプミスではない。意図的に私の名前と球団名を載せた」と断言。その上で「たった一人のミスで6分間、自分の世界もチームも揺れた」と吐き捨てた。

 強豪球団では1本の投稿が個人の信用だけでなく、フロントトップのアンドリュー・フリードマン編成本部長(49)ら球団全体をも巻き込む。ロハスが問題視したのは、まさにその連鎖だ。

 しかもドジャースは今や、球界で最も注目を浴びる〝拡声器付き球団〟でもある。だからこそ誤報は訂正されても消えず、疑惑の残像だけが独り歩きする。ロハスの憤りは自身の名誉回復を求める叫びであると同時に、情報の速度が正確性を踏み潰しかねない現代の野球報道への警告でもあった。

 ドレリッチ記者はその後、誤投稿を削除し、18日(同19日)までにX上でロハス本人、ドジャース球団、代理人に謝罪したと公表した。ロハスも矛を収める姿勢は見せたが、傷は消えない。看板球団のベテランにとって最も恐ろしいのは処分そのものではなく、誤報が一瞬で「疑惑の顔」を作ってしまう時代の速さなのかもしれない。