米国の劇的勝利の裏で、ヤンキースにとって見逃せない〝収穫〟が静かに浮かび上がった。米メディア「ヤンクスゴーヤード」は、15日(日本時間16日)のWBC準決勝(ローンデポ・パーク)でドミニカ共和国代表のカミロ・ドバル投手(28=ヤンキース)が見せた好救援を、今季ヤンキースのブルペンを占う重要材料としてクローズアップした。

 試合は米国が2―1で競り勝って17日(日本時間18日)の決勝進出を決め、話題はどうしても勝者側に集中した。ただ、その陰で価値を示したのがドバルだった。終盤のマウンドに上がると、米国の強力打線を相手に6〜8番を比較的危なげなく封じ、1イニングをきっちりと整理。大会の熱狂に埋もれた形にはなったが、ヤンキース目線では十分すぎる〝好材料〟だった。

 というのも、ヤンキースの今季は先発陣や打線以上に、救援陣の安定感が大きなテーマになっているからだ。デビッド・ベッドナー投手(31)、フェルナンド・クルーズ投手(35)、そしてドバルらが本来の力を発揮できるかどうかで、終盤の戦い方は大きく変わる。昨季のドバルにはピッチクロック対応や集中力維持に課題がつきまとったが、この日は登板開始直後に違反で「自動ボール」を取られても崩れなかった。そこから立て直し、持ち味のカッターとスライダーで押し切った流れはむしろ価値が高い。

 1試合1イニングだけで、ブロンクスのブルペン不安が完全に消えるわけではない。それでも、独特の重圧がかかるWBCの大舞台で平然と結果を出した事実は小さくない。米国の勝利に隠れた「敗者側の殊勲」――。それこそが17年ぶりのワールドシリーズ制覇を目指すヤンキースにとっては、今季へ向けた確かな追い風なのかもしれない。