侍ジャパンの次期監督人事に、早くも〝仰天プラン〟が表面化してきた。井端弘和監督(50)の退任方針を受け、後任候補の1人として松井秀喜氏(51=ヤンキースGM付特別アドバイザー)の名が浮上。「ゴジラ監督待望論」が強まる中、拍車をかけるように周辺ではMLB名将ジョー・マドン氏(72)のコーチ入閣招へい案も取り沙汰されているという。最大の論点は大谷翔平(31=ドジャース)をどう生かし、どう束ねるか。その難題を解く「橋渡し役」としての期待だ。
第6回WBCは惨敗に終わった。ベネズエラに5―8で逆転負けを喫し、侍ジャパンは大会史上初のベスト8止まりという屈辱を味わった。井端監督も敗退翌日に「結果が全て」と退任の意向を示し、視線は一気に2027年第4回プレミア12、28年ロサンゼルス五輪へ向けた新体制づくりに移っている。
そこで急速に熱を帯びているのが、次期監督候補の1人として実名が挙げられ始めている松井氏の就任待望論だ。巨人で4番を張り、ヤンキースでも主軸を担い、09年には日本人初のワールドシリーズMVPにも輝いた実績はもはや説明不要。2月の侍ジャパン宮崎事前合宿を訪れ、代表選手に助言を送ったことも含め、その存在感は群を抜いている。
ただ、名前の大きさだけで代表監督は務まらない。今回の敗戦で改めて浮き彫りになったのは、大谷という規格外の存在をどう機能させるかという難しさだった。次期監督に最も求められるのは戦術眼や知名度以上に、いや応なくチームの中心となるスーパースター・大谷と適切な距離を保ちながら最大限の力を引き出せる「マネジメント力」であることは疑いようがない。
この距離感の設計こそが、侍ジャパン新体制の成否を左右する。前回大会で栗山英樹前監督(64=日本ハムCBO)が高く評価され、松井氏とともに次期監督候補の1人として再登板を求める声が強まっているのも、日本ハム時代からの信頼関係を軸に大谷を動かせたからだ。
そこで侍ジャパン周辺から妙案としてささやかれているのが、マドン氏の招へいプランだ。同氏はエンゼルス監督時代、大谷の二刀流運用に大胆に踏み込み、21年以降の「リアル二刀流」完全開花を後押しした人物として知られる。実際にMLB公式サイトやスポーツ専門局「ESPN」でも同年から大谷への起用制限を緩めたことや、首脳陣との密な意思疎通が現在に至るまでの飛躍を支えたと伝えられている。だからこそ大谷にとって、ただの「恩師」ではない。「どう扱えば最も輝くか」を知る数少ない理解者の1人だ。
しかもマドン氏は、大谷だけを知る人物ではない。12年にはレイズの監督として当時現役だった松井氏の獲得をフロントに猛プッシュし、マイナー契約からメジャー昇格への道を開いた。去就が定まらない時期の松井氏にとって、いわば〝最後の花道〟を用意した恩人でもあった。
当時の地元報道でも、マドン氏が松井氏の能力と人間性を高く買っていたことが伝えられている。つまりこの人選は大谷を熟知し、松井氏をも知り尽くす人物をあえて侍ジャパンの中枢に置く――。そう考えれば、このプランが「橋渡し役」として急浮上している理由ははっきりする。
もちろん侍ジャパンで外国人スタッフを本格招へいした前例は皆無で、言語や情報共有など課題もある。松井氏自身も監督、コーチ経験はなく、代表指揮官の能力は未知数だ。それでも、その穴を埋める〝右腕〟がマドン氏なら話は変わる。
来年11月開催の次回プレミア12は五輪切符のかかる戦いで、2年後の7月に行われるロス五輪は大谷らMLB勢招集の可能性も絡む。侍ジャパンに必要なのは、単なる次の監督ではない。国内組とメジャー組、そして大谷という巨大戦力を一つの勝ち筋へ束ねる指揮官と参謀のセットだ。松井監督にマドンヘッドコーチ――。その仰天プランの実現こそ、敗戦後の侍再建を一気に現実味ある議論へ変える一手かもしれない。













