WBC日本代表は10日のチェコ戦(東京ドーム)に9―0で大勝し、無傷の4連勝で1次ラウンドの全日程を終了。堂々の1位通過でマイアミで行われる準々決勝(14日=日本時間15日)へ向かうこととなった。大谷翔平(31=ドジャース)はこの日の一戦には出場しなかったが、今や球界の頂点に立つ男の発信力はワールドワイド。〝茶道ブーム〟が惑星レベルで巻き起ころうとしている。

 圧倒的な強さで1次ラウンドを突破した侍ジャパンで、話題の中心となったのはやはり大谷だった。打撃成績は出場した3試合で打率5割5分6厘、2本塁打、6打点、OPS2.026という常人離れしたもの。そして、何度もグラウンド内で侍ナインに披露された「お茶たてパフォーマンス」も多く取り上げられた。

 これは北山(日本ハム)が大谷から「今大会にふさわしい新しいセレブレーションを考えるように」との命を受けて考案したもの。高く掲げた左手に茶わんを持ち、右手で茶筅(ちゃせん)をクルクル回すジェスチャーは、大谷が大手飲料メーカー「伊藤園」の「お~いお茶」のCMなどに出演していることから着想を得たという。

 同社の広報担当者は、取材に「日本の伝統文化である〝お茶〟が世界の舞台で自然な形で注目されていることについて、大変うれしく受け止めています。近年、抹茶をはじめとする日本茶への関心は国内外で高まっており、そうした流れとスポーツの盛り上がりが相乗効果となって日本茶全体に目が向けられる機会になればと考えています」とコメント。

 ただ、そこはグローバルな知名度を持つ二刀流スーパースター。同社の願いはすでに現実のものとなりつつある。

 このポーズに大谷の一挙手一投足を追う米メディアが食いついたのはもちろん、すぐさまスペイン国内にも広められていたのだ。

 C組初戦となった6日の台湾戦で大谷がグランドスラムを含む大暴れを見せると、スペインの大手有力紙「マルカ」(電子版)はこう報じた。

「このジェスチャーは、日本文化において重要な役割を果たす伝統的な粉末緑茶『抹茶』を泡立てる動作を模倣している。伝統的な茶道では抹茶は竹製の茶筅で混ぜられ、その動きは選手たちがフィールドでまねしている円を描く手の動きと酷似している」

 日本の茶道文化がスポーツ界トップのインフルエンサーでもある大谷によって全世界へ絶賛拡散中なのだ。

大谷翔平も!ベンチ全員で「お茶立てポーズ」
大谷翔平も!ベンチ全員で「お茶立てポーズ」

 茶道界の元祖・インフルエンサーとして名高いのは安土桃山時代に活躍した茶人・千利休。中国から伝来していた抹茶文化を独自の感性で発展させ「侘(わ)び茶」と呼ばれる後の日本文化の原風景となる、一大ムーブメントを巻き起こした。利休が織豊政権の下で活動したことからも分かるように、その後の茶道は武士階級の精神修養において重要な位置を占めるようになった。

 安土桃山時代から400年以上もの時を経て「お茶」は「サムライ」のもとへ予期せぬ形で帰ってきた。その巨大な渦の中心にいるのは、言うまでもなく〝令和の利休〟とも呼ぶべき唯一無二のユニコーンだ。