エプスタイン・ファイルがまたも物議をかもしている。米司法省は1月30日、性的虐待罪などで起訴され公判前に自殺した実業家ジェフリー・エプスタイン元被告をめぐる捜査資料などの関連文書「エプスタイン・ファイル」のこれまで非公開だった約300万ページ分を公開。内容をめぐっては、ロシアのKGBによる〝世界最大のハニートラップ〟の可能性が浮上している。

 トランプ大統領は昨年11月、司法省に対し、あらゆる記録、文書、通信、捜査資料をすべて公開することを義務付けた「エプスタイン・ファイル透明法」に署名した。そこから司法省は推定600万ページ超のファイルを順次公開し続けている。非公開から公開になったものには2000本の動画、18万枚の画像が含まれる。

 米投資家で富豪だったエプスタイン氏は1990年代半ばから10年以上にわたり、米領ヴァージン諸島のリトル・セント・ジェームズ島(通称エプスタイン島)で数十人の少女らを乱交などで性的虐待し、多くの有名人たちに児童買春をさせたといわれる。エプスタイン氏は性的虐待罪などで起訴され、勾留中に自殺した。

 ファイルには、エプスタイン氏とかかわった人物として、トランプ氏、クリントン元大統領、イーロン・マスク氏、ビル・ゲイツ氏、故スティーブン・ホーキング博士、故マイケル・ジャクソンさん、ミック・ジャガー、ピーター・マンデルソン前駐米大使らの名前や写真が出ていた。ただし、この有名人たちは、違法行為で告発されていない。

 複数の英米メディアは、エプスタイン島について、ロシアのKGBによる〝世界最大のハニートラップ〟の可能性を報じている。

 公開されたファイルには、プーチン大統領の名前が1056件、モスクワに言及したものが9629件含まれている。しかし、プーチン氏やKGBとエプスタイン氏を直接結びつけるファイルは存在していない。

 米国事情通は「米国の情報機関は長年にわたりエプスタインのロシアとの関係を監視していました。一方で、英国はアンドルー元王子との関係を理由に慎重姿勢を取っていたとされています」と指摘する。

 エプスタイン氏とロシアをつなぐのは、エプスタイン氏の元恋人かつ〝少女調達係〟で、エプスタイン氏と関連する児童性的人身売買などの罪で20年の刑に服しているギレーヌ・マクスウェル受刑者だ。

 米情報専門家らは、エプスタイン氏が諜報の世界に足を踏み入れたのは、失脚したメディア王ロバート・マクスウェル氏との取引がきっかけだったとみている。マクスウェル氏は91年、大西洋でヨットから転落し、亡くなった。

「米国諜報筋では、マクスウェル氏は1970年代からロシアのエージェントであり、イスラエルの情報機関モサドの関与のもと、ソ連系ユダヤ人のイスラエル移送に関わっていたとされています」と前出事情通。

 そのマクスウェル氏の娘がギレーヌ受刑者だ。マクスウェル氏の人脈がエプスタイン氏に受け継がれた可能性があるのかもしれない。

 2011年のメールには、エプスタイン氏がロシア訪問中に「プーチンとの面会予定」があるとされる記述がある。また、エプスタイン氏は「プーチンの友人がいる。ロシア査証は必要か」と尋ねたメールも送っている。

 米国の調査報道記者クレイグ・アンガー氏は著書「アメリカン・コンプロマット」で、トランプ氏が大統領就任前にエプスタイン氏との15年に及ぶ交友を通じて、プーチン陣営と関係を築いたと主張。KGBの後継機関FSBが、エプスタイン氏が有名人たちと少女との様子を録画していたとされる映像から、恐喝材料を入手していた可能性があるとみている。