野球日本代表・侍ジャパンの井端弘和監督(50)が16日に都内で会見し、3月に開催される第6回WBCの出場メンバーを追加発表した。昨季、セ・リーグで2冠王に輝いた佐藤輝明内野手(26=阪神)はWBC初選出となったが、侍指揮官は虎の主砲が低迷した時期もブレずに高評価。その背景には大谷翔平投手(31=ドジャース)への徹底マークが予想される中、政権発足当初から描いた一撃必殺の〝隠し武器構想〟があった。

「ひょっとしたら佐藤輝は代表から選外になるのではないか?」。本番が迫った昨年末の時点でも、球界内にはそう予想する声が一定数あった。佐藤輝が出場できる守備位置は本職の三塁と右翼のみ。左翼での公式戦出場は昨季わずか1試合で、現実的ではなかったからだ。

 三塁には今大会への出場意思を示している村上宗隆内野手(25=ホワイトソックス)や岡本和真内野手(29=ブルージェイズ)。右翼には鈴木誠也外野手(31=カブス)らの選出が濃厚となっている。昨季、40本塁打&102打点で打撃2冠に輝いた虎の4番であっても「分が悪い」とみなされても仕方なかった。

 それでも井端監督は来月6日の最終ロースター発表を待たずに、一足早く佐藤輝の選出を公表。「国内選手では一番の飛距離を誇る選手。そこに安定性も加わった」と高い期待を改めて示した。

シーズン中も佐藤輝明(手前)を見守っていた井端監督(奥左から2人目)
シーズン中も佐藤輝明(手前)を見守っていた井端監督(奥左から2人目)

 侍のメインウエポンが二刀流スーパースター・大谷なら、相手バッテリーを死角から突き刺す〝暗器〟はサトテルだ。井端監督は佐藤輝が自己ワーストとなる16発で終えた2024年シーズン直後も「今後40、50発は打てる選手。WBC準決勝、決勝では本塁打でしか点が取れないので」と話すなど、構想のキーマンとして追い続けてきた。

 侍指揮官として初陣となった23年11月の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」では、佐藤輝を初招集。当時は満足いくコミュニケーションを取れず、オフレコで阪神担当記者に「佐藤っていつもあんな感じなの?」と人となりをヒアリングするなど、並々ならぬ執心をのぞかせる一幕もあった。

 そんな経緯もありながら井端監督の読み通り、佐藤輝は攻守で飛躍。現代野球で重要視されるOPSも「.924」と2位以下を大きく突き放す12球団トップの成績を残した。井端監督も「そろそろどこかで一気に伸びる時期が来ると思っていましたよ。過去とは全然、雰囲気が違っている」と納得顔だ。

 東京ドームで開催される1次ラウンドは、3月6日のチャイニーズ・タイペイ戦を皮切りに韓国戦(7日)、オーストラリア戦(8日)、チェコ戦(10日)の4試合。ただ、侍ジャパンが目指す大会連覇を果たすためには、マイアミで行われる決勝トーナメントを勝ち抜く必要がある。

 そこで求められるのは、局面を一撃で変える規格外の飛距離だ。大谷、鈴木ら現役メジャー戦士が、相手から勝負を避けられる可能性は十二分。ならば、ここ一番の打席を甲子園の浜風に鍛え上げられた懐中の〝隠し武器〟に託すしかない。

 プロ入り当初からWBC出場を熱望していた佐藤輝は、近い将来のメジャー移籍を本格的に模索中。MLBスカウトたちにとっても格好の見本市となる大会だけに、極めて高いモチベーションで臨む戦いとなりそうだ。