【球界こぼれ話】プロ野球界では近年、ポスティングシステムを利用した米メジャー移籍が急速に一般化しつつある。

 かつてはごく一部の有力選手に限られていた制度だったが、現在では20代中盤で海外挑戦を視野に入れる選手がポスティングを活用することも珍しくない。先日、ヤクルトからホワイトソックスへの移籍が決まった村上宗隆(25)や昨オフにドジャース入りした佐々木朗希(24=前ロッテ)らが顕著な例だろう。

 だが日常的に若手選手がポスティングで海を渡る姿を見ていると、個人的にはどうしても「日本球界は大丈夫か」という不安に駆られてしまう。

 確かにポスティングは海外FA権を持たない選手が球団の承認さえ得られれば、若くしてメジャー移籍できる画期的な制度。送り出す側も米球団から譲渡金を得られるケースが多いため容認しているのだろう。だが、このままでは有力選手の流出が続くばかりか日本球界全体の価値低下を招きかねないのではないか。

 主力選手の移籍により「若手台頭の場が広がる」という声もあるが、若手の多くがポスティングによる移籍を望めば今ある海外FA権が形骸化する恐れもある。実際日本球界ではすでにそんな兆候が出始めている。であれば選手、球団、リーグ全体に恩恵があるポスティング制度を再構築していくべきではないか。

 昨年末、ある球団幹部との会合の席でこの点を問うと「その思いは各球団も持っているが簡単に解決できる話ではない」とこう続けた。

「どこの球団も本音では手塩にかけて育てた主力選手を海外移籍させたくはない。でも多くの球団がポスティングを認めるのは主力選手流出に見合う譲渡金が見込めるから。それにここ数年は円安とメジャー選手の年俸高騰で日米の年俸差は開くばかり。この差がある限り選手の海外流出は止められない。ただ、メジャーは今がバブルのような状況ですし、昨今は日本の有望選手と意図的に短期契約を結んで選手の年俸と譲渡金を減らそうとする動きも出始めている。このままでは日本側が大きな損失をかぶる可能性もありますから。ポスティング制度の根本的な見直しは必要でしょうね」

 世界最高峰の舞台で日本人選手が躍動するのは誇らしい半面、どこか釈然としない現在のポスティングシステム。静観すべきか早急に改善すべきなのか。日本球界のもどかしい状況は続く。