ドジャースがFA市場の目玉とされたエドウィン・ディアス投手(31)と契約合意に達したことが9日(日本時間10日)に判明した。メッツで通算144セーブを挙げた最強守護神の加入でブルペンが一気に安泰――。そうした見方が大勢を占める一方で「実は大きなリスク」と警鐘を鳴らす声も一部で広がっている。その理由は、ディアスがメッツ移籍1年目に味わった「ナイトメア」の再来リスクだ。しかも大谷翔平投手(31)ら日本人先発陣にも〝悪影響〟が及ぶ可能性まで懸念され始めているという。

 ドジャースと3年総額6900万ドル(約108億円)で契約合意に達したとみられるディアスが、前所属のメッツで残した実績は圧倒的だ。6年間で144セーブ、今季も防御率1・63と球界屈指のクローザーであり、ドジャースが求めていた「最後の1イニングの解答」を一気に満たす存在と評していいだろう。LAの地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」など米主要メディアでも「ブルペンの不安は消えた」と一斉に報じられ、ディアスと契約合意に達したことを事実上認めたアンドリュー・フリードマン編成本部長(49)らドジャース球団フロントの評価は言うまでもなく総じて高い。

 しかし、米球界では別の角度から〝負のデータ〟が急速に掘り返されている。移籍1年目――。ここがディアス最大の「鬼門」だ。

 マリナーズでメジャー昇格後初めて新天地に移った2019年からディアスはメッツの新守護神として26セーブを挙げながら、2勝7敗、防御率5・59という衝撃的なバッドデータを残した。9イニング当たりの被安打数は前年の2倍を超えており、さらに防御率の進化版と目され、100未満なら平均以下と評される「Adjusted ERA+」も210から74へ急落。米スポーツサイト「デッドスピン」も当時のディアスについて「最も劇的で信じ難い不調」と酷評している。特に9回に被弾した本塁打15本はMLB史上ワースト記録で、当時のNYの現地メディアは「悪夢(Nightmare)」と形容したほどだ。

 その後は摩天楼の環境にも慣れ、球界最高峰のクローザーへと成長を遂げたが「初年度のもろさ」はファンの記憶にも深く残り、SNS上では〝ディアスを見るストレス〟を「心臓発作だ」と表現する投稿が現在も散見される。一部のMLBアナリストらは、こうしたディアスの〝初年度の再発リスク〟を危惧しているのだ。

 米スポーツ専門局「ESPN」の人気番組「Sports Center」でも、この話題が〝ホットトピック〟として取り上げられ、アンカーが次のように言及した。「ドジャースは間違いなく勝者だ。しかし、もしディアスの危険要素が目を覚ませば、それこそナイトメアだ。彼が試合をぶち壊すような展開になったら…」。

 その上でアンカーは、ドジャースの来季豪華先発陣をこう列挙。「スネル、グラスノー、シーハン、トミー・ジョン手術から復帰予定のリバー・ライアン、そして大谷、山本、来季先発復帰が濃厚な佐々木。これほどのローテがそろっている。だが、その後を任せるクローザーが〝初年度の悪夢〟を再現すれば、全てが破壊されてしまう」

 つまり、どれだけ先発投手が試合をつくっても最後の1イニングでディアスが崩れれば「ゼロに戻るどころか、ウォーク・オフ(サヨナラ負け)でマイナスに転ぶ」。特に大谷、山本由伸投手(27)、佐々木朗希投手(24)の日本人トリオがクオリティースタート(6イニング以上、自責点3以下)級の好投をいくら重ねても、ディアスの「ナイトメア」が露出すれば勝利が逃げる〝悪循環〟を生みかねない――。こうした見解が一定層で強まっているのだ。

 もちろん大半の米メディアは「ディアス加入でドジャースの〝王朝〟は盤石」と見ており、フリードマン編成本部長も「ブルペンの強化は不可欠だった」と自信満々だ。だが、裏側では「メッツ1年目の再現だけは避けたい」という緊張感も確かに存在する。

 ディアス獲得が〝最適解〟となるのか、それとも〝ナイトメア再来〟となるのか――。26年シーズン、ドジャースの命運を握るのは、意外にも「最後の1イニング」なのかもしれない。