鷹指揮官の〝破壊&再生発言〟が早くもチーム内で反響を呼び起こしている。ソフトバンクは先月30日に阪神との日本シリーズを制し、5年ぶりの日本一を達成。故障者が相次いだ中でチームの層の厚さ、底力を発揮したシーズンとなった。

 悲願達成から1週間。ナインにとってはつかの間の休息が訪れたわけだが、すでに危機意識も潜在している。それは日本一を決めた当日夜、小久保裕紀監督(54)が報道陣に語った来季に向けての宣言内容にあった。指揮官は「同じことをしたら勝てない。テーマは『一度壊す』」と説明。「今年の初めに思い描いていたのとは、全く違うチームができそうな選手も増えてきている」とし、歓喜の直後でも喜びに浸るばかりでなく早々に来季構想を明かした。

 強い組織であり続けるために欠かせない競争と世代交代。指揮官の言葉を受けた選手たちは緊張を走らせ、背筋を凍らしている。今季初めて規定打席に到達し、最高出塁率のタイトルを獲得するなどブレークを果たした柳町達外野手(28)もその1人だ。年間を通してチームに欠かせない存在となったが現状に甘んじてはいけないと、いい意味で危機感を募らせながら来季のさらなる飛躍をこう誓う。

「(来年は)正木や山本、石塚だったり若い選手も死に物狂いで(レギュラーを取りに)くる。あとはギータ(柳田)さんとか近(近藤)さんとか、上の方も万全になったらみんなガチンコ勝負になると思うので。また一からじゃないですけど、みんなで切磋琢磨してその中で勝ち抜けるようにやるしかない」と言い切り、激しい競争に気を緩める様子はない。

 一方で今季からチームに加入した上茶谷大河投手(29)は「『え、壊すんだ』と思いました」と率直な感想を口にしながらも「自分にとってはチャンス」と先発争いに闘志を燃やした。アピール必須の選手にとって〝解体〟は好機ともなる。

 鷹ナインの間に確かに存在する競争意識。これも指揮官の思惑通りか――。リーグ3連覇を目指すための〝内なる戦い〟は、すでに始まっているようだ。