ソフトバンクが30日に甲子園で行われた阪神との「SMBC 日本シリーズ2025」第5戦で延長11回の末、3―2で勝利。5年ぶり12回目の日本一に輝いた。歓喜の輪の中でひと際感無量の表情を見せていたのが、周東佑京内野手(29)だ。26日の第2戦(みずほペイペイ)で同シリーズ新記録の1試合5安打を放つなど大舞台でも随所で活躍を見せ、チームを頂点へと導いた。コンディション不良に悩まされながらも鷹をけん引したキーパーソンの胸の内に去来するものとは――。

 リーグ連覇を達成し、悲願の日本一。聖地・甲子園で迎える「完全制覇」だった。誰よりも使命感を持って、この1年を駆け抜けてきたのが選手会長・周東だった。昨年11月に左ヒザを手術。競技復帰まで4か月と見込まれていたが、小久保監督は迷わず春季キャンプの宮崎に帯同させた。代えの利かない選手会長ゆえに「佑京は連れていく」(小久保監督)。指揮官からの強いメッセージを受け取った。自分の発言がチームを代表しているという自覚を持ち、日常の振る舞いにも気を配り続けた。窮地では「強いリーダー」を意識。チームが低迷していたシーズン序盤は、あえて強気な発言で仲間を鼓舞し続けた。

 今季は相次ぐ故障の影響でわずかに規定打席に届かなかったが、首位打者争いを演じるハイパフォーマンスでチームをけん引。代えの利かない絶対的主力に成長した。理想は全試合グラウンドに立ち続けること。チームを勝たせるために、その日しか球場に来られないファンのために常時プレーすることを望んでいる。

 9月18日の日本ハム戦では背中付近に死球を受けて負傷した。同29日に登録抹消。CSファイナルステージ開幕直前の今月14日に一軍に戻ってきたが、実は肋骨が折れていた。「痛みが取れればいける」。多くを語らず、日本シリーズで打率3割6分4厘という結果を残してみせた。

 強いチームには、強いリーダーがいる。先頭に立ち続けた周東の姿に、チーム最年長の柳田は「プレーと言動から『俺が引っ張っていくんだ』という強い覚悟と責任感が感じられた」と、完全制覇の立役者を称賛した。「真の常勝軍団」復活を掲げる男が、痛みに耐え抜き信念を全うしたシーズンだった。