波紋は広がる一方だ。ナ・リーグ西地区首位を走るドジャースだが、1日(日本時間2日)現在で2位・パドレスとの差はわずか2・5ゲーム。混戦模様の中で、米スポーツ専門局「ESPN」の有識者が大胆な提言を投げかけた。「地区優勝に固執するのではなく、ワイルドカードでも構わない。10月のポストシーズンで勝つ準備を優先すべき」と主張したのだ。大谷翔平投手(31)を擁しながらも不安定な戦いを続けるチームにとって耳の痛い現実を突きつけられた格好となり、米国内で議論を呼んでいる。
ドジャースは西地区首位を維持しているが、安泰とは言い難い。宿敵パドレスが追走し、首位攻防の行方は最後まで予断を許さない状況だ。これまでの直接対決ではドジャースが9勝4敗で制しており、仮にシーズン最終戦で両軍が同率首位で並んだ場合でもタイブレーク上は優位に立つ。しかし9月の日程では両軍の直接対決が組まれておらず、アリゾナやシアトルへの遠征を控えるドジャースに対し、パドレスは本拠地での連戦が続く。終盤戦の流れ次第では、あっという間に立場が逆転する可能性もある。
そうした中、普段は温厚とされるデーブ・ロバーツ監督(53)もいら立ちを隠せない様子だ。ここ最近、大谷の拙走気味の盗塁やテオスカー・ヘルナンデス外野手(32)の右投手への対応を名指しで苦言を呈するなど、クラブハウス内の雰囲気は必ずしも穏やかではない。ブルペンは不安定でリードを守り切れず、打線も好機で一本が出ないことも多々ある。米メディア「エッセンシャリースポーツ」は「これらの要因にさいなまれたロバーツ監督が苛烈な叱責を繰り返す姿は、かつての余裕に満ちた名将の姿から明らかに一変している」と指摘しているのが現状だ。
そして前出「ESPN」(電子版)で、同局の敏腕記者として名高いデビッド・ショーンフィールド氏もドジャースについて「地区優勝は必須条件ではない」と断言。むしろパドレスにとっての地区Vは「悲願」だが、ドジャースが本当に目指すべきは「10月を勝ち抜く力だ」と強調している。昨季も先発陣に故障が相次ぐ中で頂点に立ったものの、今季はブルペンの層が厚いとは言えず勝ち残るには綿密なローテーション管理が不可欠。シーズン終盤は消耗戦を避け「むしろポストシーズンに向け、戦力温存を図るべき。さもなければドジャースは地区シリーズで姿を消すことになるかもしれない」とも警鐘を鳴らしている。
当然、その戦略の中心にいるのが大谷だ。打撃ではここまで45本塁打を放ち、シュワバー(フィリーズ)とシ烈な本塁打王争いを繰り広げる一方、マウンドにも立ち二刀流での存在感を示している。とはいえ、チーム状況が不安定な中で大谷への依存度は増すばかり。地区Vを諦め、短期決戦の〝10月重視〟にシフトするという意見には「ワイルドカードゲームも加わることになれば、二刀流の大谷の負担をさらに重くするだけ」と懸念する声も少なくない。
SNS上では「大谷のためにも地区Vにこだわるべきだ」「短期決戦で勝てるチーム状況ではない」と賛否両論が渦巻いている。ロバーツ監督の強いフラストレーションと、識者からの〝現実路線〟の提言。両者が交錯する今のドジャースは、覇権球団としての威光を取り戻せるのか。それとも地区Vを譲ってでも、10月の勝利とワールドシリーズ連覇にすべてを懸けるのか。いずれにせよ、その中心に立ち続けるのは〝ゴッドファーザー〟さながらの存在感を放つキーマン・大谷ということになる。












