【女子プロレス最強レスラーの告白 神取忍 お前の心を折ってやる(20)】1992年、女子プロレスは対抗戦時代に突入した。LLPWを旗揚げし、全日本女子プロレスにあいさつしようとしたら「忙しいから、試合を見に来てくれた時にお願いしたい」って。
それで出向いた11月の川崎大会で北斗晶に突然挑発されて…。まんまとLLPWも巻き込まれた。対抗戦も始まってみれば、こちらが連続で負けて北斗に侮辱される。「冗談じゃない」ってなるよね。あちらは老舗団体。こっちは旗揚げ1年目の女社長でなめられる要素がたくさんだったんだ。でも、なめられたら終わり。遺恨が生まれてからの対抗戦だった。
93年4月2日、全女、LLPW、FMW、JWPが参加するオールスター戦(横浜アリーナ)が決定。北斗とシングルで対戦することになった。大会に向けた会見で北斗は「化けの皮をはがしてやるよ」と言う。「骨の一つでも折ってやるよ」と返すとコップの水をかけられた。こっちは靴を脱いで顔面を殴ってやった。正当防衛だよ。昔からどこに行くのにもビーチサンダルでさ。ホテルで会見するから「ちゃんとした格好で」と言われてわざわざ靴を買ってたのに。足がムズムズしてたんだろうな。あれ以来「靴は投げないでくださいね」って言われるよ。
試合では机の上で北斗にパイルドライバーを見舞って流血沙汰に。ナックルパンチも打ち合った。そうそう、思い出したぞ。北斗に3カウントを取られて負けた後、すぐに立ち上がろうとしたら全女のレフェリーに頭を押さえられて起き上がれなかったんだ。こっちは全然平気なのに「大丈夫か! 大丈夫か!」って、ずっと寝かされたまま。全女には「またやられたな」と思ったよ。最初から最後まで納得できないところはある。
シングル2戦目は同12月6日、両国大会。アッパーカット2連発でKOし、勝利した。でもさ、北斗は「負けたら引退」とか言っててさ。何言ってんだよって。最初から「この試合で辞めます」なら分かるけど、勝ち負けで引退をかけるのは理解できなかった。
北斗との試合は「死闘」と言われ、ものすごい反響だったけど、正直ピンとこない。ジャッキー佐藤さんとの試合とか、もっと熱い戦いを経験しているし、自分の中では人生の一コマ、通過点なんだ。向こうは自分とジャッキーさんの一戦を意識していたんだろうけど。それに、この試合は向こうが気持ちを固め、けじめをつけようとして、それに乗せられた感じだからね。見る人にとっても幻想だった凶暴な神取が出てきてワクワクがあったかもしれない。
ただ、確かに北斗戦があったことで対抗戦が盛り上がった。「すぐつぶれる」と言われたLLPWもここで波に乗れたことはあるかな。















