【女子プロレス最強レスラーの告白 神取忍 お前の心を折ってやる(19)】1992年、新団体発足に一生懸命動いた。スポンサー探しもリングや道場設営も自分たちでなんでもやる。インディだよね。だまされて、借金だらけの綱渡り。まったく知識もないけど、気持ちだけで動いた。旗揚げ戦を8月に後楽園ホールでやる目標がある。「頑張る力ってすごい」と今でも思うよ。
6月10日、LLPW発足会見を開いた。社長は風間ルミ。私は取締役という名の取り締まられ役。束縛を嫌うから、役をつけないと逃げるんじゃないかと思ったんじゃないかな。名前は「LADIES LEGEND PRO WRESTLING(レディース・レジェンド・プロレスリング)」で頭文字を取ってLLPW。世界で初めて、現役の女子選手がつくった団体だ。
それまでは女子プロレスといえど、フロントやオーナーは男性。男性の意向で動かされて、女は入るもんじゃないと言われていた。でも、LLPWは女性が自分の意思で立ち上げた団体。歴史的なことなんだよ。
最初は「バックがいる」「スポンサーがいる」とか根も葉もないウワサを流されていたのに、いざ後ろ盾はいないと分かったら「女だけで何ができるんだ」「無理だよ」「3か月で終わる」って言われてさ。負けず嫌いだから、がぜんやる気が出てきた。絶対に見返してやるってね。
8月29日の旗揚げ戦。後楽園ホール大会は絶対に成功させなくてはいけなかった。フタを開けたら超満員の大盛況。メインは風間ルミ対神取忍。風間は「プロレスと結婚する」とウエディングドレスで登場した。初めてのシングル対決で無事に船出した。
このころ女子プロレス界では団体対抗戦という流れが来ていたんだ。全日本女子だけではなくFMWができてJWPもある。こっちとしたら、ジャパン女子のころから「(全女と)2つ団体があるんだから戦えばいいじゃん」とずっと訴え続けたこと。だから「今さら何言ってんの」って冷めてはいたんだよね。
ただ、新団体を旗揚げしたからには、律義に全日本女子へあいさつに行こうとしてたんだよ。そしたら向こうから「忙しいから、試合を見に来てくれた時にお願いしたい」って言うんだ。その通り、11月の川崎大会を風間らと観戦しに行った。今となったら策略だよね。北斗晶から「お前らなんで来てんだ!」って挑発された。
向こうはLLPWを面白くないと思っていたようだけどさ。正直、北斗のことはよく知らなかった。頸椎を骨折して這い上がってきて強いらしいとは聞いていたけど、興味は湧かなかった。でもさ、公衆の面前でケンカをふっかけられたら公の話になる。受けて立つとなったわけなんだよ。













