阪神は10日の広島戦(マツダ)に6―3で競り勝ち、神撃の11連勝。2位・巨人とのゲーム差を今季最大の9・5にまで広げた猛虎は、最速で16日にも優勝マジックが点灯する。快勝劇のオフェンスをけん引したのは、2戦連発となる先制の23号ソロを含む4打数2安打2打点をマークした主砲・佐藤輝明内野手(26)。この日、視察に訪れていた侍ジャパン・井端弘和監督(50)の御前で心身の成長を存分に披露した――。
先頭打者として打席に入った2回。第1打席の初球を佐藤輝が見逃すことなく振り抜けたのは、高い集中力を持続して試合に入れていた何よりの証拠だった。甘いコースへのスライダーを無慈悲に一閃すると、白球はたちまち右翼席へ着弾。自己最多のシーズン24本塁打に「あと1本」まで迫るソロアーチで、先制のホームを踏んだ。
5―3と再逆転に成功した直後の7回二死二塁の第4打席でも強烈なインパクトを残した。外角ギリギリの149キロ直球を「片手打ち」ではじき返すと打球は中堅の頭上を越えた上でワンバウンドし、観客席へ飛び込む適時エンタイトル二塁打。ドン詰まりにも見えた当たりを、片腕一本でスタンドまで運んだ規格外の怪力は言うまでもなく球界随一だ。
「あのホームランは昨日(前日9日の22号ソロ)と同じような当たりだったよな。でも、その後の第2打席(4回=初球をひっかけ一ゴロ)はちょっとアッサリしすぎていた(笑い)」と目尻を下げながらも注文を忘れなかったのは、この一戦をネット裏から見守っていた井端監督だ。村上(ヤクルト)、岡本(巨人)らの代表辞退が濃厚視される中、虎の背番号8には侍正三塁手の筆頭候補として高い期待を寄せている。
今年3月16日のプレシーズンゲーム・ドジャース戦(東京ドーム)で、過去2度のサイ・ヤング賞受賞歴を誇る左腕ブレーク・スネル投手(32)から放った佐藤輝の衝撃アーチは、今も侍指揮官の脳裏に焼き付いているという。「力を抜いてミートしただけで、ホームランを打てたことは本人にとってもいい方向へ行っているのだと思う」(井端監督)と見知らぬ異国の投手たちとの対戦が続く国際舞台での対応力にも期待を寄せる。
井端ジャパン初招集となった2023年秋の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」でともに戦った際には、「何かを話しかけても『あっ…。分かりました』でスッと逃げられてしまうような」淡泊なコミュニケーションしかとることができていなかったという。だが「今年に入ってからは随分と落ち着いて長く話すことができるようになった。自分の打撃のこととかも順序立てて説明してくれるようになって」と話しているように、佐藤輝の人柄に変化も感じている様子だ。
囲み取材が終わった後に井端監督は、その場にいた虎番記者たちに対して「佐藤輝っていつもあんな感じなの?」と逆取材。「取材応対は、ざっくばらんなことが多いですが、根の人柄はいい男ですよ」と返されると「そうか…。じゃあ俺、最初の頃はアイツに記者だと思われてたんだ」と苦笑い。来年3月開幕の第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、虎の超マイペース男・佐藤輝の〝トリセツ〟を把握することも代表監督の重要な任務だ。













