新日本プロレスの来年1月4日東京ドーム大会で引退を控えている棚橋弘至(48)が〝特需〟に複雑な心境を明かした。7月4日東京武道館大会でIWGP GLOBALヘビー級王者ゲイブ・キッドへの挑戦が決定。真夏の祭典「G1クライマックス」(7月19日、札幌で開幕)も決まるなど一気にトップ戦線に躍り出た棚橋だが、周囲の〝思惑〟を冷静に分析した上で反骨精神を燃やした。

 棚橋は15日大阪城ホール大会でGLOBAL王座を奪取したゲイブから次期挑戦者として指名を受け、挑戦が決定。同王座初戴冠を目指す。しかし、胸中には一種の悔しさもあるという。

 3月大田区大会でIWGP世界ヘビー級王者・後藤洋央紀に挑戦した時も王者からの指名で、いずれも自身の手で挑戦権を勝ち取ったわけではない。棚橋は「駆け込み需要だと思いますよ。記念受験じゃないですけど、1回やっておこうみたいなと」。

 ここに来て連続してチャンスが到来しているのは〝引退特需〟だと、自らの口でハッキリ言い切る。それだけに「『ネームバリューある割にチョロいから』みたいにナメられてるんじゃないかなとは思ってますよ。俺はチョロ橋でもカモ橋でもないぞと。意地を見せたいですね」と、闘志を燃やした。

 さらに棚橋は昨年、連続出場が「22」でストップしてしまったG1にも2年ぶりの出場が決定。出場者決定戦(23日後楽園、7・4東京武道館)にも回ることなく、大阪城ホール大会で発表された出場20選手中16人に名を連ねた。

 王座戦や公式戦に関する決定事項はIWGP実行委員会によるもので、棚橋は社長という立場であるもののあくまでノータッチ。それでも「何で(自分が)予選なしなんだろう? 強い弱い、コンディション的な部分よりも、ドラマ性というか、そういうところを優先的に選んでもらったんだとしたら、ナメんなよと」。やはりこちらも複雑な思いで受け止めている。

 G1のGは、正式には後藤ではなく「グレード」のG。それだけに現役最後だからといって、話題性だけで出場するつもりはない。棚橋は「実力で(出場枠を)勝ち取ってないだろっていう。SNSで反応を見ても『何で棚橋なんだ』『大岩(陵平)を出せ』『ベルト巻いている選手が出ないで、なんで棚橋が…』みたいな感じなので。全部ひっくり返してやりますよ。ゲイブ戦は、より大事になりますね。王者としてG1に出るチャンスですから」と、自身が「グレード1」であることをリング上で証明するつもりだ。

 29日には、プロデュース興行「TANAHASHI JAM」(愛知県体育館)も控えている。「残り半年ですけど、ここに来て一気に騒がしくなりましたからね。全力で盛り上げますよ」。偉大なるキャリアのラストイヤーで、逸材が唯一無二の輝きを放つ。