【昭和~平成スター列伝】全日本プロレス1日の仙台大会で、史上初の双子(斉藤ブラザーズ)による3冠ヘビー級戦が行われ、王者の斉藤ジュンが、双子の弟でチャンピオン・カーニバル覇者のレイを下し、V4に成功した。双子による3冠戦は歴史に残る試合となったが、実は全日本では約34年前に史上初の「兄弟対決」が実現している。それもあの偉大なザ・ファンクス、ドリー・ファンク・ジュニアとテリー・ファンクの一戦だ。

54分の死闘を制したドリーの電光石火のエビ固め
54分の死闘を制したドリーの電光石火のエビ固め

 1981年4月には力道山時代からの至宝・インターナショナル王座が全日本で復活。新王者決定トーナメントでドリーとブルーザー・ブロディが勝ち上がったが、ブロディがケガのため4月30日の決勝戦(千葉・松戸)を棄権。結局ドリーが不戦勝で王者に認定され、急きょトーナメント参加者でクジ引きで挑戦者を決めて、初防衛戦が行われることに。何と挑戦者の座を得たのは弟テリー。タッグ対決は経験があったが、シングル対決は最初で最後。元NWA王者同士の歴史的な禁断の兄弟一騎打ちが実現した。

「意外にも両者は同じコーナーから上がったが、すでに表情に戸惑いはない。リラックス気味のテリーに対してドリーは緊張感を隠せない。ゴングと同時にドリーはヘッドロック攻撃。5分過ぎにはスピニングトーホールド、コブラツイストを仕掛けるが、ドリーは読み切ってハネのける。25分過ぎ、ドリーは徹底した足殺し。バックドロップの2連打はテリーが耐え抜き、エルボーを叩き込んだ。テリーはパンチの連打、怒るドリーはエルボーで痛めつける。『テリー! テリー!』と『ドリー! ドリー』の大コールで会場は真っ二つの応援合戦。ついに戦いは50分を過ぎるとテリーが得意のラフ殺法で勝負へ。タックルに来るテリーをドリーはリング外へ落とすと、テリーは上りざま電光石火の回転エビ固め。決まった! だがドリーは間一髪切り返してカウント3! 鮮やかな切り返し技でドリーは初防衛に成功。兄弟が死力を尽くしたビッグマッチは、紙一重の差でドリーに凱歌が上がった」(抜粋)

 実に54分の大死闘。ドリーは「こんな試合は15年に1回ぐらいでいい」と吐き捨てたが、これが最後の激突となった。和田京平名誉レフェリーは「いい試合だったけどやりづらそうでぎこちなかったね。兄弟でしかもベビー同士。ヒール相手のほうがお互いに持ち味を発揮できた。いつもと力の入り方が違っていたし、やはり兄弟やタッグチームはシングルで戦うべきじゃないなというのが俺の意見。今回の3冠戦もいい試合だったけど、双子だとやはりお互いの狙いを見抜かれてしまう部分はある。でも話題性という点では抜群だったね」と語った。

 歴史的一戦を実現させた斉藤ブラザーズ。今後はシングルでもタッグでもザ・ファンクスを超える名選手になることを期待したい。(敬称略)