伝説となった「ヘイ、カール!」の〝真相〟とは――。89歳で亡くなった長嶋茂雄さんは現役を引退後、日本テレビなどで野球界だけではなく各種スポーツにもかかわっていた。1991年の陸上世界選手権(世界陸上、東京)ではリポーターを務め、当時世界新記録9秒86で優勝したカール・ルイス(米国)に〝気安く〟呼びかけたことは大きな波紋を広げ、いまだに語り継がれている。
元J1東京V社長で、日本テレビ時代にプロデューサーなどで多くのスポーツ中継にかかわってきた坂田信久氏は、五輪や世界陸上などのビッグイベントで長嶋さんをゲストコメンテーターに起用してきた。同氏は「何かっていうと〝長嶋さんを使っている〟と、メディアなどでもやゆされていたよ」と回想した。
〝ミスター〟をキャスティングした理由について坂田氏は「他局を含めてアメフトのスーパーボウルやゴルフの全英オープンなどの大会にゲスト(コメンテーター)で起用されていた。世界のスポーツ、トップアスリートら最高のものを多く見ている人が、どう感じたのかが大切だと思った。長嶋さんは、これまでとは違う聞いたことがないコメントだった。起用して良かった」という。
特に91年の世界陸上で長嶋さんがスタンドから「ヘイ、カール! カール!」と呼びかけたシーンは伝説の〝名場面〟となった。しかし、当時世界トップのスプリンターに対して気軽に声をかけたことには「長嶋さんらしい」「気安すぎるのでは」との声が届いていたそうだ。坂田氏は「うん…相当、やゆされたんだけど…」と振り返りつつも、長嶋さんが親しげに名前を連呼したのは理由があったという。
坂田氏は「東京の世界陸上を盛り上げるべく特番を放送した。そこで長嶋さんとサンタクララにも行った。練習後にカールの家にまで招待されているんだ」と明かした。すでに87年ローマ世界陸上や84年ロサンゼルス五輪、88年ソウル五輪でも2人は顔を合わせており友人といえる間柄。だからこそ、ファーストネームで呼びかけるのも普通のことだったという。坂田氏は「その事情をアナウンサーに伝えておけば良かった」と語っていた。
長嶋さんにとって最後のホームランとなった444号を打った試合でも、プロデューサーを務めたという坂田氏は〝ミスター〟とともに仕事をしたことに「みなさんと同じように幸せでした」としみじみと語り、故人の冥福を祈っていた。













