ソフトバンクは15日の西武戦(みずほペイペイ)に5―0で完勝した。小久保裕紀監督(53)が指揮官に就任して以降、一度も4番から動かさなかった山川穂高内野手(33)を7番に配置。第3打席に8試合ぶりとなる8号2ランを放ち、勝利に貢献した。

 大きな決断だった。〝王イズム〟を重視する指揮官にとって打線の軸となる4番は打順以上の意味合いを持つ。オーダーの提案を行う村上打撃コーチも「4番っていうところは、4番打者の監督にしか分からない」と語る。それだけに山川を4番から外すことには熟考を重ねた。試合後、小久保監督は「打順変更に関してはかなり悩んだ。自分の頑固さと山川の状態と、ずっと葛藤はあった」。4番として責任を背負い込んでいた主砲の姿を見て、2週間近くも考えを巡らせたという。

 昨季も山川は30試合ノーアーチと苦しんだ時期もあったが、チームは開幕ダッシュに成功して首位を独走。4番のバットから快音が聞かれずとも、復調を待てるだけの土台があった。しかし、現状は4位でBクラス。昨年以上に1勝をつかみ取ることへの重みが増している。指揮官は「去年はずっと首位だった。勝つのが使命なので」とチーム状況と照らし合わせ、ついにメスを入れたわけだ。

〝最後の聖域〟となっていた「4番・山川」も動かしたことで、今季の開幕オーダーは原形をとどめないまでに変わった。これまでは近藤や柳田など主力に故障者が続出したことで、メンバーを替えざるを得ない背景があったが「答えのないところに決断を下していくのが監督の仕事」と今回は自発的に決断を下した。

 自らの信念と勝利との妥協点を探し、大きくかじを切った小久保監督。ひとつの殻を脱いだ2年目の指揮官が、今後はどんな采配を振るうのか目が離せなくなりそうだ。