西武が12日まで19勝15敗でリーグ3位と奮闘を続けている。好位置につけられているのは、「左右の両輪」として腕を振る今井達也投手(27)と隅田知一郎投手(25)の功績が大きい。2人が投げた13試合で9勝、貯金7を稼ぎだしている。

 西口文也監督(52)が標ぼうする「投手を中心とした守り勝つ野球」の中心にいる両者には指揮官も「心強いし、安心して見ていられる」と全幅の信頼を置く。そして、勝利を計算できる両投手の登板試合にライオンズファンは熱狂し、応援にも一層の熱が込められている。その理由は、この2人が一朝一夕に今の立場に到達したのではないことをファンも共有しているからに他ならない。

 昨年、チーム低迷の責任を取って退団した渡辺久信前GM(59)は、今井の資質を「ほとんど真っすぐとスライダーで三振を取る。先発としてはビックリというか、あり得ない。ポテンシャルは球界随一」と高く評価していた。

 だが、20代前半は自分の能力を持て余し、理想の投球フォームが見つからず〝迷走〟。試行錯誤を繰り返し、全く接点がなかったダルビッシュのSNSにダイレクトメールを送って疑問をぶつけたり、現中日の涌井秀章投手の自主トレに参加したり…。当時の今井は常に自分の理想を求めてフォームを変え、マウンドで打者よりも自分との勝負に徹する独り相撲の投球も目立っていた。

 隅田も1年目のプロデビュー戦で初勝利を挙げながら、その後は球団記録を更新する12連敗を喫するなど1、2年目は苦戦続き。当時の辻発彦監督から「マウンドでのしぐさがダメ」「球自体はいいんだから、もっと大胆にいってくれよ」「一生懸命になりすぎ。8分の力の方がスピンの効いた球がいくのに…」と小言を言われ、いまいち殻を破れない〝9勝投手〟だった。

 そんな両者の〝迷走期〟をファンもリアルタイムで共有してきただけに、ようやくたどり着いた「左右のエース」としての姿に感動を覚えるのだろう。最初からすごかったわけではない。今井と隅田が見せてきた葛藤と成長のストーリーが大きな支持につながっている。