【平成球界裏面史 近鉄編98】平成29年(2017年)、BCリーグ富山はタフィ・ローズとのコーチ専任契約を模索していた。だが、結局はコーチとしても選手として契約を結ぶことはなく完全に引退。母国の米国で余生を過ごす道を選んだ。

 それでも日本でつながった人脈を大切にしながらSNSなどを駆使し連絡を取り合った。NPBでプレーした時代に交流のあった選手に祝い事などがあると、ビデオメッセージを送るなど親交を温めた。その際はいつもの関西弁。「はーい、おめでとう。ローズやで~」というノリで会場を和ませた。

 そんなローズがNPBを引退したのは平成22年(10年)。現役引退後から5年が経過すれば、日本の野球殿堂入りの資格が発生する。そこから15年間、つまり平成27年(15年)から令和12年(30年)までの間に、投票権を持つ表彰委員の中から75%以上の得票をできれば、ローズも殿堂入りが可能だ。

 成績としては申し分ないだろう。平成7年(1996年)から平成16年(2004年)までの8年間を近鉄バファローズでプレーしたことを皮切りに、巨人、オリックスバファローズで13シーズンに渡ってプレーを続けた。通算成績は打率2割8分6厘、外国人歴代1位の464本塁打(NPB歴代13位)、1269打点で堂々、殿堂入りに値すると言っていい。

田淵幸一氏(左)と長嶋茂雄氏(1995年11月)
田淵幸一氏(左)と長嶋茂雄氏(1995年11月)

 ミスタープロ野球と呼ばれる長嶋茂雄氏は17年間のキャリアで444本塁打であり、ミスタータイガースと呼ばれた田淵幸一氏は474本塁打で、いずれも殿堂入りをすでに果たしている。この2人とプロ野球界への貢献度を単純に比べることは酷だが、ローズにチャンスがってもおかしくはない。少なくとも、そう信じている近鉄ファンは多数存在するはずだ。

 通算OPSは・940で4度の本塁打王、そして50本塁打以上を実に2度も記録している。平成13年(01年)には当時のシーズン日本記録となる55本塁打に並び、王貞治氏の記録超えに挑み話題となった。その01年にはリーグMVP。ベストナインには7度も選出された。それでも、殿堂入り資格を得てから朗報が届くことはない。

ローズと王貞治氏(2001年11月)
ローズと王貞治氏(2001年11月)

 おそらくプロ野球史上最多の14度の退場という事実も足を引っ張っているだろう。だが、それでもローズが現役時代に関わった近鉄、オリックスの関係者は「なんとかローズに殿堂入りしてもらわれんへんかなあ。優等生ではないけど、あれだけ野球で頑張ったんやし、ええやつなんやけどね」と口にする。

 昨年は阪神の昭和60年(1985年)・日本一に貢献したランディ・バース氏とヤクルトや巨人で活躍し、DeNAで監督も務めたアレックス・ラミレス氏が殿堂入りを果たした。過去には助っ人への評価が在籍期間の短さなどで別れる傾向にあったが、近年の流れはそうではない。

 自由すぎる助っ人・ローズの殿堂入りを近鉄バファローズファンは密かに期待している。

すでに殿堂入りを果たしているバース氏(左)とラミレス氏
すでに殿堂入りを果たしているバース氏(左)とラミレス氏