MLBでも希代のスーパースターであるドジャース・大谷翔平投手(30)の凱旋(がいせん)試合に日本列島が連日沸いた。その注目度の高さは海を渡り、台湾でも大きな盛り上がりを見せた。それを裏付けるようにMLB東京シリーズには、ドジャースの来日に合わせて台湾メディアが「特別取材班」を編成。新聞で言えば、1面級の扱いで大谷の活躍を連日大きく伝えた。なぜ大谷はこれほどまでに台湾で愛されるのか。根強い人気の源流は――。
  
 台湾からはテレビ4社、大手ネット系メディア2社が来日したが、舞台裏では取材パスの発行がかなわなかった社も数多くあった。MLBには現在、特筆すべき台湾人選手はいない。それなのになぜか。これほどの注目度は、やはり二刀流スーパースターの存在抜きには語れない。「彼は台湾で絶大な人気を誇る。われわれがここにいるのも大谷翔平がいるからです」と、台湾メディアの一人は力説した。

 台湾での異常なまでの大谷人気は何も今に始まったわけではない。野球報道に従事してきた台湾人記者は「なぜ大谷選手に台湾の人々がここまで熱くなるのか。理由は、日本ハムから巣立った大谷翔平だから。台湾で圧倒的人気を誇るNPB球団がファイターズ。大谷はそのファイターズで投打二刀流として日本の球史に名を残し、メジャーに旅立った。当初は台湾でも二刀流に懐疑的な目があった。それを覆してきたストーリー性にファンは心を奪われたのです。メジャーでも二刀流の地位を確立。歩みを見守ってきたからこそ思い入れが強い」。

 かつて台湾でアイドル級の人気を誇った陽岱鋼外野手(38=オイシックス新潟)が所属した日本ハム。勝機を逃さず戦略的プロモーションで台湾との交流を深め、着実に市場を開拓していった日本ハムは他の追随を許さぬ人気球団となった。その過程で2013年に入団したのが大谷だった。投打二刀流に、台湾の野球ファンの間でも当初は懐疑的な見方も強かったが、今に至る大成功を収めた大谷。日本国民同様に夢を託した大谷の破竹のスター街道に、台湾の人々も魅了された。

「日本のみなさんが〝私たちの大谷〟という目で温かい視線を向けていらっしゃるのと同様に、台湾の人々も〝日本ハム時代からずっと見続けている大谷選手〟だからこそ根強い人気があるんです。私たちメディアはこれまでも、今も、そしてこれからも大谷選手を追い続けていくことになると思います」(台湾紙記者)

 紛れもなく〝大谷一極集中〟報道――。東京に集結した台湾メディアの熱量は、日米メディアに負けず劣らず熱かった。