女子プロレス「スターダム」に激震が走っている。前ワールド王者・中野たむが、3日の後楽園大会で行われたワールド王者・上谷沙弥(28)との敗者退団マッチで敗北。一夜明けた4日の会見にて、3月3日付で中野の退団が発表され、4月27日の横浜アリーナ大会で実施が決定した敗者引退マッチまで、フリーとして参戦することが決まった。どん底に落ち、暗闇の中にいる中野が今思うこととは――。
会見で中野は開口一番「フリーの中野たむです。昨日敗者退団マッチで敗北して、このたびスターダムを退団させていただく運びとなりました」と気丈に振る舞い報告。だが、その後は涙を流し言葉を詰まらせながら「スターダムは私にとって人生の全てです。私からスターダムを取ってしまったら、プロレスラーという事実しか残ってません。だからプロレスラーという存在意義を全てかけて戦います。皆さん、最後まで信じて見届けてください」と頭を下げた。
会見後も会場の端でうつむいていた中野は「昨日、家に帰ってからも涙がずっと止まらなくて…。自分がみじめで…。今までのキャリアの中で一番かっこ悪い。今まで応援してくれてきたファンの人を悲しい気持ちにさせて心配かけて…。申し訳ない気持ちでいっぱいで、なんと言っていいかわからない…」と吐露。
一夜明けても、実際に退団という言葉を受け止めきれていない様子で「退団をかけたのは自分だけど、生きがいを奪われた気分だし、みんなを振り回してしまっているなって…。人生最大の悪夢。上谷の言ってたことがピンとこなかったけど、こういうことかって…」と語った。
それでも中野をどうにか奮い立たせるのは、上谷にリベンジする気持ちだ。「一昨年、ヒザをケガして引退を考えた時は、このまま消えてしまいたいっていう気持ちが大きかったけど、今は消えるわけにはいかない。どう転んでもどっちかが天国でどっちかは地獄に行くことは、決まってしまったから。私が必ず天国にたどり着きます」と必死に前を向こうとしている。
勝利のあかつきには再契約を望みたいところだが、負けたばかりの中野はそこまで要求できないとの思いがある。「もちろん負けたら引退します。でも、私は引退する気はない。そしてスターダム以外でプロレスをやるつもりはないので、私が勝って赤いベルト(ワールド王座)を巻いて再契約を結んでもらえたらいいなって…。でも今の私にはそんなこと言う資格ないので。再契約を目標に…結果で証明したい」と真っすぐな瞳で語った。
敗者引退マッチといえば、全日本女子プロレスが1979年2月27日に日本武道館で当時、社会現象を巻き起こすほどの人気だったマキ上田とジャッキー佐藤さん(故人)のビューティーペアが同ルールで激突。結果はマキが敗れて引退し、日本中を驚かせた。
「私たちには女子プロレス史を動かす覚悟があります。たむは上谷に勝ってジャッキー佐藤さんになる。あの熱狂を超えるような大会にします」
この日は珍しく雪が降り、会場の外にはうっすらと積もっていた。この光景を見た中野は「今日降ったこの雪は、きっと世界中の人がたむを思って流してくれた涙の結晶。でも必ず、雪も雨もやむから大丈夫」と自分に言い聞かせるように、一歩を踏み出した。














