プロ15年目のヤクルト・山田哲人内野手(32)が試練を迎えている。昨季はチームとともに自身の成績も低迷。それでも2021年から務める主将は今季で5年目を迎え、チーム内の求心力は不変だ。本紙評論家・前田幸長氏が沖縄・浦添キャンプを訪問し、かつてトリプルスリーを3度達成した山田の「現在地」について探った。

【前田幸長「直球勝負」】彼の完全復活なくして、ヤクルトの今季3年ぶりリーグ優勝はないだろう。山田哲人のことだ。昨季はシーズン開幕戦で下半身を痛めるなど、2度も離脱。110試合の出場にとどまり、キャリアワーストの打率2割2分6厘で、14本塁打、39打点、1盗塁に終わった。

 山田には私もファンも走れる、打てる、ホームランという長打もあるという「トリプルスリー」のイメージが強い。そうした周囲の期待が本人にとってプレッシャーとなったのか。思うような結果が出ないことで相当苦しんだようだ。
 
 その要因を山田は「いろいろ考えて試行錯誤していく中で、間違った方向に行ってしまった。感覚とかがズレてしまって、戻そうとしても戻らなくなった。どうやって打ってたかなっていうのもあった。技術的な部分でおかしくなってしまったところに、ケガもしてしまった」と明かす。

 スランプに陥った投手が投げ方が分からなくなってしまったという話はたまに聞く。だが、打ち方が分からなくなってしまったなんて、ほとんど聞いたことがない。それが山田ほどの選手が陥っていたとは、正直、驚きだ。

視察に訪れた前田幸長氏(右)の取材を受ける山田哲人
視察に訪れた前田幸長氏(右)の取材を受ける山田哲人

 ここ3年は続けて足を負傷。そのため足の強化トレーニングに励んだもののオーバーワークが裏目に出たのか、ケガを負ってしまい「もう自分の体が分からなくなってしまった」という。

 そこで昨季途中から走り込みを開始。ポール間走や10、20メートルダッシュなどをシーズン中も継続すると「その後は1回もケガをしなくなった」。今キャンプでも相当に走り込んでおり「自分の一番の武器は入団当時はスピードだった。それをグラウンドで発揮したい」と張り切っている。

 今季の目標を尋ねると「期待しないでください」と謙遜していたが、目はギラついていた。私は打率2割8分5厘、25本塁打、20盗塁で、3番を打てば100打点の達成も期待できる。再び輝きを取り戻してほしい。(本紙評論家)