これも大争奪戦の代償か…。“令和の怪物”佐々木朗希投手(23)が、新天地のドジャースで順調な滑り出しを見せている。夢舞台への切符をつかんだ一方、20球団が名乗りを上げた獲得競争の裏では資金を捻出するため「契約破棄」が横行。中でも治安が不安視される中南米地域では、担当スカウトが身の危険を感じるほどの険悪ムードとなっているケースもあり、暴力的な報復が懸念されている。
アリゾナ州グレンデールで行われているキャンプでは、15日(日本時間16日)から野手組が合流。ひと足早く12日(同13日)からキャンプインしている佐々木は、すでにブルペンに2度入り、この日は守備練習など軽めの調整で終えた。
マイナー契約の入団ながら、メジャー昇格は確実。ロバーツ監督は早くも3月19日の開幕第2戦(東京ドーム)での先発起用を示唆している。そんな怪物右腕の獲得に興味を示したのは半数以上の20球団。最後は佐々木が3球団に絞った中からドジャースを選択した。
最終的にドジャースだけが報われたが、各球団は25歳に達しない海外選手である佐々木を獲得するために必要な「国際ボーナスプール」を捻出する必要性に迫られた。予算を拡大させるために行われたのが、他のアマチュア選手への「内定取り消し」だ。
その多くがドミニカ共和国やベネズエラなど中南米の選手で、球団側の事情によって一方的に約束を反故(ほご)にされ、夢の扉を閉ざされた。それだけ佐々木の才能を買い、なりふり構わず手を尽くしたわけだが、今度は争奪戦に敗れた上に事後処理に追われている。
中でも苦境に立たされているのが前出地域を担当するスカウト陣だ。スカウトたちは選手の発掘をはじめ対象選手、所属チームとの信頼構築に日々奔走する。だが、条件面も詰めて基本合意したにもかかわらず、球団側の都合で取り消されれば心証が悪化するのは必定だ。実際に信頼関係が破綻し「もうおたくのチームには選手を出さない」と“絶縁”を通告されたケースも起きているという。
また、地域特有の治安情勢も事態を緊迫させている。米球界関係者は「日本ではこういう契約におけるトラブルが問題となれば、裁判という解決が現実的な選択肢となるんだろうけど、中南米では必ずしもこの常識が常識ではない部分がある」と微妙な言い回し。日本やアジア圏との違いを指摘した上でこう声を落とした。
「スカウトが危険な目に遭う可能性もゼロとは言えない」
内定をもらい、一度は夢の実現に胸を高鳴らせた。しかし、何の落ち度もなく佐々木争奪戦の巻き添えにされ、失意のどん底に叩き落とされる――。心中穏やかでいられないのも無理はない。中南米は米国と同様に銃社会。自分の身は自分で守ることが“鉄則”とされる。それだけに選手の親族や周辺の関係者らが逆上し、復讐に出てきても不思議ではないというのだ。
前出の関係者は「実際に、選手の親や近い関係者が契約で得た金銭で抱えていた事業の借金を返済した、という事例はアジアより中南米の方がはるかに多く聞く。それだけ選手の価値を確信し、ビジネスの計算に入れていた裏返しでもあるんだろうけど…」と眉をひそめた。
念願の舞台に立つ佐々木。その過程で起きた数々の“悲劇”は、世界を巻き込んで不穏な空気を生み出している。












