巨人が今季限りで楽天を退団し、自由契約となった田中将大投手(36)を獲得することが16日までに決定的となった。日米通算200勝まで3勝に迫ったレジェンド右腕の加入で、幼なじみ坂本勇人内野手(36)との共闘など夢は膨らむ。一方で球団側は当初、田中将の獲得には消極的な姿勢だった。見送りから180度方針転換した背景には何があったのか。
田中将の獲得が確実となった巨人だが、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。背広組の一人は「獲得に動くとはまったく聞いていなかった」と寝耳に水だったと明かした。
右腕が楽天を自由契約になると発表されたのは、国際大会「プレミア12」決勝戦当日の先月24日だった。今季15勝を挙げ、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した菅野が海外FAでメジャーに挑戦。当然、その穴埋めとして先発投手の補強は不可欠だったが、田中将の獲得についての方針は「見送り」だった。
だが、状況の変化によって大きくかじが切られた。まずは先発補強の失敗だった。ソフトバンクからFA宣言した石川柊太投手(32)の獲得に注力したが、今月11日にロッテ移籍を決断。2020年の最多勝右腕を逃したことで先発補強が宙に浮いた。
新たに先発の助っ人投手を補強するにも、守護神ライデル・マルティネス投手(28)の獲得もあって外国人枠はパンパン。日米通算197勝右腕への期待が高まっていった。
もう一つは球界の重鎮たちによる田中将への「救済ムード」が日増しに高まっていったこと。ソフトバンクの王球団会長をはじめ、中畑巨人OB会長らが公の場で次々とレジェンド右腕の行く末を案じるコメントを発信した。
万一にも浪人することになれば、野球人生に大きな傷を残してしまう。別の球団関係者は「そうした声が影響したことは否定できない」と理由の一つとした。
風向きが変わっていった中、最終決断には13年のWBCで田中将と共闘した阿部監督の意向が大きく反映された。来季の巨人は先発候補が全員20代と若返りに成功したものの、長いペナントレースを戦い抜く上で必要な経験豊かなリーダー的存在が不在となった。日米で多くの修羅場をくぐってきた右腕に白羽の矢が立てられた形だ。
上限を70人とする支配下枠の「1枠」を使う以上、戦力としても計算している。巨人では昨季4勝だった菅野を久保巡回投手コーチや桑田二軍監督らの指導で最多勝、最高勝率の投手2冠でセ・リーグMVPにまで押し上げた〝実績〟もある。
ベテランを再生させるノウハウは十分。今季の田中将は昨年10月に右ヒジのクリーニング手術を受けた影響もあり、わずか1登板で0勝に終わったが、新天地で復活を遂げられるのか見ものだ。












