【取材の裏側 現場ノート】今季から本紙中日取材班にアイドルグループ「SKE48」のメンバーである熊崎晴香記者が加わった。

 現役アイドルにドラ番記者をお願いすることになったのには、いくつか理由がある。熊崎記者はお笑いコンビ「スピードワゴン」の井戸田潤さんと共に中日球団の公式応援番組「ドラナビ」(名古屋のケーブルテレビ局・スターキャット)のMCを務めており、ドラゴンズ事情に詳しいこと。また、本紙競馬面で予想コラム「ハルカ 伸るか!反るか!」を5年以上連載しており、書き手として即戦力であることも理由の一つだ。

原稿作成もお手の物だ
原稿作成もお手の物だ

「(東スポ中日担当の)イメージアップのため?」。立浪監督からは鋭いご指摘をいただいたが、もちろんそういった側面もある。だが、最も大きな理由はここ数年で中日ドラゴンズを含め、球界の〝ニュース〟を取り巻く環境が大きく変わったことだ。

 記者は1994年(この年に球団マスコットのドアラがデビュー。中日と巨人が公式戦最終戦で優勝をかけて激突した〝10・8決戦〟があった)に中日担当記者となった。まだ原稿用紙に書いた記事をFAXで送っていた時代である。あれから30年…。今や試合後会見の数分後にはネット上に立浪監督のコメントがアップされ、ファンの間で共有される。ネットニュースを通じて、ドラゴンズの動きも瞬時に世界中に発信されるようになった。

 そんな時代にドラゴンズの明るく前向きな記事を書く、うってつけの人材といえば――。これが熊崎記者起用のきっかけとなった。ファンの人たちに笑顔を届けるため全力でパフォーマンスをするアイドルの視点から、中日ナインが明るく前向きに頑張っている姿を伝えてほしい。生粋の〝名古屋人〟でもある熊崎記者に、中日ドラゴンズのポジティブ記事担当として東スポ取材班に加わってもらいたいと考えた。

 とはいえ、SKE48のフロントメンバーでNHK「紅白歌合戦」に2度の出演経験を持つ人気アイドルである。劇場公演や握手会、テレビやラジオ出演など多忙なスケジュールとの兼ね合いもあって、実現は難しいと思っていた。

 だが「株式会社ゼスト」(SKE48の運営会社)はこちらの提案を前向きに捉えてくれてまさかの「GOサイン」。もちろん本業はアイドルなので、報道関係者および取材対象者との連絡先交換や私的交流を行わないこととさせてもらったが、史上初の現役アイドルとの二刀流記者が名古屋に誕生したのである。

バンテリンドームでは、試合前から取材
バンテリンドームでは、試合前から取材

 これまで熊崎記者は立浪監督や井上二軍監督、今中臨時投手コーチをはじめ柳裕也投手、小笠原慎之介投手、高橋宏斗投手、岡林勇希選手、根尾昂投手、松山晋也投手をインタビュー(未公開のものも含む)。勝利を渇望する選手の声を記事にしている。今後も中日ナインの熱い気持ちに迫ってもらうつもりだ。

 開幕前に立浪監督をインタビューした時のこと。「ぜひ日本シリーズの取材をさせてください!」。ポジティブ担当記者は竜の指揮官に真剣な眼差しでこうお願いをしていた。

 現在、中日は首位・巨人と3ゲーム差の4位。中田翔選手が加わって打撃陣の厚みも増した今季は12年ぶりのクライマックスシリーズ、13年ぶりの日本シリーズ出場の可能性は十分あると見ている。すでにSKE48サイドには熊崎記者の10、11月のスケジュール調整をお願いしている。熊崎記者が書く(予定の)ドラゴンズの〝優勝原稿〟に乞うご期待だ。(中京編集委員・宮本泰春)